新型コロナウイルスの感染拡大で、航空需要はほぼ「消失」した。国際航空運送協会(IATA)は、今年、世界の航空業界の売上の50%にあたる約44兆9000億円が目減りすると予測。世界各国トップの航空会社では、経営破綻や大規模リストラが相次いでいる。
2020年6月、国内第3位の航空会社であるスカイマークで開催された社員説明会では、業界の先行きを不安視した従業員からさまざまな質問が上がったという。
「賃金カットをしますか」
「どのようにコストダウンしますか」
「路線の見直しはありますか」
「雇用の確保」を最優先に考える
スカイマークは2015年にいったん経営破綻したが、投資ファンドのインテグラルが手を差し伸べ、JAL、ANAの大手2社とは異なる独立系の「第3極」として再建された。同社トップを務めるのは現会長で、インテグラル代表取締役パートナーの佐山展生氏である。
佐山氏は、説明会開催の理由を「従業員の不安を解消するため」としたうえで、「欧米のようなリストラは、現時点で考えていない」と語る。
「説明会の冒頭で皆さんに言ったのは、『雇用の確保』を最優先に考える、ということです。また、賃金カットは、幸い9月末まで政府から1人1日あたり1万5000円の雇用調整助成金が出るので、現時点では検討していません。今後も、従業員が納得するまで、更に説明会をする予定です」
インバウンド需要激減の影響はさほどない
スカイマークは全150便のうち、国際路線は成田―サイパンの1往復(2便)だけだったこともあり、インバウンド需要が激減した影響をさほど受けていない。人員削減どころか、こうした苦境に立たされた今こそ人材が必要だと「攻め」の姿勢を見せる。