東京から感染が飛び火するリスク
――そろそろ夏休みがやってきますが、首都圏や他県からの帰省についてはどんな風に考えていますか?
達増 私の気持ちとしては、日本政府、菅官房長官や西村大臣が言っているように、県境をまたぐ移動に制限は必要ない。移動はOK。ただ、感染対策をしっかりやっていただきたいということで、受け入れたい思いはあるんです。ただ、東京都では1日あたりの新規感染者数が200人をなかなか下回らない状況があり、3月や4月よりも東京から感染が飛び火するリスクが高くなってしまっています。まずは東京で、その頃よりも高い山を作らないようにお願いしたいです。
東京オリンピックの開会式があるはずだった24日を含む7月23日~26日の4連休、この時期を経てさらに新規感染者数が増える可能性もあるので、そうなってきますと東京から自由に外へ出るというわけにはいかなくなるのではないかということを恐れています。
――ゴールデンウィークの時に言われていた「オンライン帰省」のような別の形を考えたり、夏は難しいかもしれないけれども、年末くらいには帰れたら、という長い目で見ることが必要かもしれないですね。
達増 残念ながら、そういう可能性には注意しておかなければならないと思います。
――「自粛警察」や「コロナ八分」という言葉も生まれ、岩手県でも3月~4月頃に感染を恐れるあまり「県外お断り」の対応が相次いで、県立病院では県外から来た人の受け入れ拒否も起きました。達増知事が説かれた「正しく怖がること」と観光を含む経済活動について、どうバランスを取っていけばいいものでしょうか。
達増 バランスというよりも、感染対策はないがしろにできないので、とにかくまず感染対策です。現在は全国的な一律の自粛や休業が求められていない中で、お店も開いているし、ホテルや旅館、観光地やスポーツ施設も開いている。各々の感染対策を徹底させることに集中するのがいいと思っています。
岩手競馬は、先々週末からお客さんを入れています。熱を測ったり適切なディスタンスを取るという感染対策をしっかりやる。感染対策の経験値というのは、積めば積むほど上がっていくと思います。たとえばディスタンスの取り方、食べる前後にどのようにマスクを付け外しするか、人と話す時に飛沫を浴びせないような方法は。これらを一つひとつ学んでいけばいいんです。
「自粛警察」や「コロナ八分」は、恐怖に突き動かされて起きたことだと思います。もし感染している人がそこにいても、うつらないようにする。あるいはもし自分自身が感染していても、人にうつさないようにする。こういった水準の対策が「新しい生活様式」だと紹介されているのですから、実行に移していけばよいのだと思います。