昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

岩手県・達増知事が語る「半年感染者ゼロ」の理由と「岩手1号ニュースだけではすまない」への意見

達増拓也知事インタビュー

 日本国内で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されたことを厚労省が発表した1月16日から、半年あまりが経った。唯一の「感染者ゼロ」を維持している都道府県が、岩手県だ(7月20日時点)。5月15日付「THE WALL STREET JOURNAL」では「100万人以上の地域が無傷で残っています」と報じられた。

 その一方で、実際に暮らす人たちは「うちの会社や団体から出したくない」という切実な思いを抱えているという。岩手に住む父親に「そろそろ帰っていいかな」と聞いたところ、「絶対に帰るな」「岩手1号はニュースだけではすまない」との返信があったというツイートも話題を呼んだ。首都圏を中心に感染者数が再び増えるなかで、帰省や旅行についてはどう考えるべきか。岩手県の達増拓也知事に聞いた。

岩手県の達増拓也知事 ©︎共同通信社

◆ ◆ ◆

「第1号になっても県はその人を責めません」

――7月5日、達増知事は「7.2 新しい別の窓」(Abema)に出演されましたが、「新しい地図」の3人は岩手県のコロナ対策にどんな関心を持っているように感じましたか?

達増 なぜ岩手県では感染者ゼロのままであるのか、それゆえのプレッシャーをどう乗り越えようとしているのか。私が記者会見で「(陽性)第1号になっても県はその人を責めません」と話したことも話題にのぼりました。

 感染者ゼロには、色々な要因があると思っていまして、岩手は1都3県、東京、神奈川、千葉、埼玉を合わせた面積より広く、人口密度が低い。県民性が真面目で慎重だということ。岩手県は日本の中でも外国との行き来が比較的少ないほうだという要因もあると思います。また、世界各国と比べると日本全体の感染者数はまだ少なく、もし岩手がアメリカやヨーロッパにあったとしたら、ゼロということはないだろうと考えています。

「新しい地図」の3人 ©︎文藝春秋

――一時、PCR検査数が少ないから感染者ゼロなのではないか、「ゼロは怪しい」という声もありました。東北5県の感染者数と検査実施数を見てみると、青森(31人/1201件)、宮城(126人/4914件)、秋田(16人/1018件)、山形(75人/2772件)、福島(84人/8232件)と、検査数は意外と岩手より少ないところもあるんですね(各7月16日~17日時点)。

達増 岩手の累積検査実施数も1224件(7月16日時点)と、1000を超えました。最近では全国最下位ではなくなってきています。県で行うPCR検査は4台の機械で1日に80検体行うことができ、県職員OBなどを臨時に採用して、マンパワーも増やしています。途中から民間検査も行うようになり、今ではそちらのほうが多くなりました。6月19日からはあらたに抗原検査も実施しています。

 岩手県はドライブスルー型や臨時の施設でPCR検査を受けられる「地域外来・検査センター」の数が、東北で一番多いんですよ。県が広いので盛岡から離れたところのニーズに応えられるようにしています。5カ所が開設済みで、これから計10カ所、医師会と連携してやっていきます。