「三浦春馬、あなたは本当に空になった」
三浦さんは、『恋空』でヒロイン・美嘉の恋人で末期がんに侵される青年・ヒロを演じた。『恋空』は、外国映画の上映が規制されていた中国では劇場公開されなかったが、ネットでの違法ダウンロードや海賊版DVDでダニエル氏のように多くの若者たちが鑑賞した。台湾と香港では日本の3か月後の2008年2月に劇場公開され、俳優・三浦春馬の名を一気に広める。
作中、ヒロがいまわの際でつぶやく「もし俺が死んで空になったら、美嘉をずっと見守っているよ(如果我死後可以変成天空,我就可以看見美嘉)」というセリフは中華圏の男女の涙を誘った。
三浦さんが命を絶ったあと、中華圏のSNSではヒロのセリフを“本歌取り”し「三浦春馬現在真的変成了天空,去了天堂(三浦春馬、あなたは本当に空になった。天国へ行ってしまった)」などの書き込みであふれている。
突然、私の手を握りしめて……ハルの慟哭
ある日、ダニエル氏がフラットに帰ると、三浦さんがひとりスツールに腰掛けて泣いていたという。
〈私は驚いて、ハルに「一体どうしたんだ! 何が起こったんだい?」と尋ねたところ、彼は突然、私の手を握り締めて「日本の所属事務所は僕に向かって、ロンドンなんかで時間を浪費するな。直ちに帰国して仕事現場に戻ってくれと言うんだ……」。
私はなぜハルが自信喪失して泣かずにはいられないのか、話す時に突然に私の手を握らなければならなかったのかを考え込んでしまった。そして背筋に何か薄ら寒さを感じた気がした。
別のある日、私はハルに映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(2015年)にも出ていたよねと尋ねた。ハルは「諫山創氏の原作漫画のファンにはとても申し訳ないと思っている。僕の演技がダメダメすぎて、公開から2年経った今も完成後の全編を観る気が起きないんだ」と嘆息した〉
とはいえ三浦さんは、2017年、NHK大河ドラマ『おんな城主直虎』に第12回(3月26日放映)まで出演、ドラマ『オトナ高校』(10~12月、テレビ朝日系)に主演、さらにはCM出演もこなすというスケジュールの中で、わずか3カ月とはいえ売れっ子タレントに留学の機会を与えた事務所の度量も評価すべきかもしれない。
いずれにしても、ダニエル氏はこれらのやり取りを通じて、三浦さんがいかに真摯で誠実な人間であるかをしみじみ感じ入ったという。
三浦さんが逝った7月18日、ダニエル氏は百度貼吧の自身のスレッドに、以下の弔意コメントを書き加えた。
〈訃報に接し、耐え難いほど辛い。そちらの世界ではすべてがうまくいくことを願っているよ。 会社からのプレッシャー、ご家族の願い、感情、あらゆる面が影響したのだろうが、ハル、君に心からの感謝の念を捧げたい。素晴らしい想い出を私にもたらしてくれて〉
ルームメイト述懐原文
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