7月18日に30歳の若さでこの世を去った三浦春馬さんは、中華圏でも俳優として高い人気を誇っていた。中国版Twitterと呼ばれる「新浪微博(ウェイボー)」公式アカウントには、391万人のフォロワーがおり、三浦さん他界のニュースには多くのファンから悲鳴が上がっていた。中国本土や香港、台湾の中華圏メディアも、日本の報道を後追いするかたちで報じている。

 また、共演した俳優たちは、その才能を評価し、早すぎる別れを嘆き悲しむ。

憶えている中国語のセリフのひとつを

 三浦さんは、オール上海ロケの日中合作の主演映画『真夜中の五分前(深夜前的五分鐘)』(行定勲監督、本多孝好原作、2014年)を撮影するために中国でほぼ全編中国語で演技をしたことがとても印象的だったようで、ロンドン留学時代のルームメイトだったダニエル氏に、憶えている中国語のセリフのひとつを「何て意味なのか、もう忘れちゃったけど」とはにかみつつ口ずさんだという。

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〈ハルは「中国ではひとつの映画を撮るのに何百人も関わるが、日本ではせいぜい数十人だ」と語り、『真夜中……』で共演した中国人女優・劉詩詩(リウ・シィシィ、33)はとても美しい人だねと述懐した〉(ダニエル氏の「百度貼吧」書き込みより)

ハリウッドでもサイン攻めにあった三浦春馬さん ©getty

ほぼ全編中国語セリフに挑戦

 中国ポータルサイト大手・捜狐(ソゥフゥ)のインタビューによると、三浦さんの初めての中国体験は子役時代、12歳のときに出演したスペシャルドラマ『明智小五郎対怪人二十面相』(2002年8月27日放映、田村正和・ビートたけし主演、TBS系)の撮影のため、旧満州国時代のたたずまいが残る遼寧省大連に滞在したことだった。当時は右も左もわからず、中国に対する関心も文化に触れようという感覚もまだ育っておらず、緊張しっぱなしであまり憶えていないという。

『真夜中の五分前』の撮影のため、2014年に上海を訪れた三浦さんは、「生まれて初めて異国の地で一人暮らしをした。僕が演じている時計修理技師の良(りょう)は上海の時計修理店の老人と出会い面倒を見てもらっているという設定ですが、日本から海外へ単身で渡り、その土地で職を見つけ、現地の市民とも交流しながら生きていくっていうのは、もちろん今の自分自身の生活とはかけ離れているということもあり、とても興味深いと思っています」と語り、仕事に追われる日本から、違った環境に身を置きたいと考えるきっかけになったようだ。