「上海という土地に来て、いろんな文化に触れて、上海で演じ、撮影した体験自体が人生の中でも貴重だった。オールド上海のゆったりした雰囲気、高層ビルが煌めく夜景、日中の陽射し、路地の暗がりなどが原作のイメージととてもマッチしている。なぜ上海で撮影されたのか、始めは分からなかったし、行定監督は『必然だよ、必然』と言っているが、実際に上海に来て撮影を通し、雰囲気や登場人物の思いがよく伝わってきて、照明や映像も美しい作品に仕上がったと思う」
とインタビューで語っている。
その3年後、三浦さんは、英国での短期留学を実現させる。
「春馬には、豊かな感情表現力がある」
三浦さんは『真夜中の五分前』撮影に当たり、中国語での演技は初めてだったことから、日本で3カ月中国語をマンツーマンで特訓し、上海でもクランクイン前の1カ月学んだ。香港の民放テレビ局無綫電視(TVB)のトーク番組『Star Talk』(2014年10月)に出演した三浦さんは、『真夜中……』について「日本では中国語のテキストを、レッスン以外に毎日1時間音読した。上海では中国語レッスンのほか、時計修理店で2週間、毎日2時間の実習も受けた。精密機械のメカニズムを理解するのは本当に難しかった。でもどちらかというと感情をこめて話す中国語のほうが難しい」と述べ、芸能界随一の努力家の一面を垣間見せる。
三浦さんは実際、映画本編でも実に自然な中国語を奏でている。
台湾の工商時報によると、同作で共演した台湾俳優の張孝全(ジョセフ・チャン、37)は三浦さんについて「一言でいえば、とても真面目で、集中力がある役者。普通話(標準中国語)の努力も素晴らしい。だが春馬には、豊かな感情表現力がある。発音能力は最重要事項ではない。春馬との共演は、俳優として学ぶことが多かった。自分は物事を深く考えるのが好きじゃないのですが、春馬は役柄を深く掘り下げて考察し、役作りをするのです」と絶賛。
7月18日に訃報に接した際、張孝全は台湾メディアに対し「驚きと悲しみしかない。春馬はとても友好的で親しみやすい男。仕事への態度も非常に真面目だった。『真夜中……』で初対面したとき、181cm、82kgのゴツい僕の身体を見て、スレンダーな春馬は中国語で『好厲害(すげぇ)!』と叫んだことなど、楽しい思い出ばかりが頭に浮かぶ」と短く語った。