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36歳元メジャーリーガーが2軍の地方遠征にも帯同

 背水の陣で臨んだ17年は年俸3億500万円から大幅ダウンの推定1億6000万円で残留。正直、マギーに何かあった時のあんしん保険的な立ち位置である。開幕直後には、2軍の打撃練習中で守備についた際に打球が直撃して左手人さし指を骨折。もしかしたらギャレットはこのまま帰国してしまうのではないか? しかし、背番号5は2か月近いリハビリ生活を経て、6月からイースタンの試合に復帰する。しかも、36歳のメジャー122発男が若手選手に混じって福岡の筑後、東北の泉や南相馬、北海道の紋別や新十津川といった日本中のハードな遠征に同行する日々だ。

 凄い男だなと思った。1軍ではマギー、マイコラス、マシソン、カミネロと助っ人選手は全員結果を残している。チーム編成を見ても彼らを外すことはできない。出番がまわってくるなら誰かが故障したときだろう。恐らく、そんなことは本人も痛いほど分かっているはずだ。もし俺がギャレットなら、同じように振る舞う自信はない。体の違和感を装い遠征を回避し、やってられないよとかなんとかアメリカのマスコミに日本球界の外国人枠の理不尽さをぶちまけるかもしれない。過去にそういう助っ人は数多くいた。

若手選手に混じって2軍の地方遠征に帯同するギャレット ©文藝春秋

 以前、プロ野球の2軍監督にインタビューした時の印象的な言葉がある。「調子が悪いときにその人の本当の姿が出る、本当の実力が出るんですよ。例えば怪我をしたら落ち込みますよ。でも、そこで虚勢を張らなきゃいけない、見栄を張らなきゃいけない。プロ野球選手は弱い姿を人に見せないということが大事なんです」とまるで若手に諭すように語ってくれた。実際、それができない選手は多いという。使ってくれない監督が悪い、コーチと合わない、怪我をするなんて運がなかった、そうして誰かのせいにして投げやりになってチームを去っていく。

 だからこそ、周囲の若手は今のギャレットの野球に対する姿勢から学ぶものも多いのではないだろうか。2年前までヤンキースのユニフォームを着ていたベテランが、自分たちと一緒に黙々とイースタンの試合に出続けている。確かに、外国人枠の競争には勝てなかったのかもしれない。けどプロスポーツにおいて、いかに勝つのか? と同じくらい、負けっぷりは重要だ。彼は常に全力を尽くしたのか? 勝った時に声援を受けるのは当然で、負け試合やうまくいかない時に観客から拍手を送られる選手こそ真のプロフェッショナルである。

 真夏の東京ドームの2軍戦、スタンドのファンから最も大きな歓声を浴びていたのは、精悍に日焼けしたギャレットだった。

 See you baseball freak……

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