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珍実況、迷采配、謎用語、7月のヤクルトを襲った“3つのバグ”

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/07/29
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スワローズにとってとても大きかった【バグ】

(3)ジャイアンツ・パーラの【ボナファイドバグ】

 7月12日、ほっともっとフィールド神戸での巨人戦。

 3-2スワローズリードで迎えた6回裏、ジャイアンツ1死一、三塁で炭谷銀仁朗選手の遊ゴロで二塁上の山田哲人と走者・パーラが接触しダブルアウト、いや、ダブルプレーを取れず同点に。しかし、高津監督がすかさずリクエストした結果、丹波幸一責任審判より、

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「パーラ選手のスライディングに対し、ボナファイドを適用します。バッターランナーの炭谷選手もアウトです」という説明があり、ジャイアンツはこの回無得点に。

 ボ、ボナファイド? 偉い人の名前?

 おそらくこの試合を見ていた9割の人の頭にも【バグ】が発生したのではないでしょうか。

 私がYouTubeで生配信する番組『スワいち!』の中でもこの話題になり、ボナファイドの意味を巡ってプチ大喜利状態になったのですが、視聴者さん曰く、ボナファイドで検索すると新宿区のオフィス機器レンタル会社が出てきたそうです。

 正式には、bona fide(ボナ ファイド)。ラテン語由来の言葉で、「誠実な」という意味。

 野球規則では「bona fide slide=正しいスライディング」。その定義は、

(1)ベースに到達する前からスライディングを始め(先に地面に触れる)
(2)手や足でベースに到達しようとし、
(3)スライディング終了後は(本塁を除き)ベース上にとどまろうとし、
(4)野手に接触しようとして走路を変更することなく、ベースに達するように滑り込む。

 パーラ選手はこの中の(3)に違反したとして守備妨害。結果、ダブルア、いや、ダプルプレーが認められました。

 ボテボテの遊ゴロだったので普通に捌いてもまずゲッツーを取れていなかった事を考えると、スワローズにとってはとても大きなパーラ選手の【バグ】でした。

 結果的にこの判定が勝敗を分ける形となりスワローズはこのまま3-2で勝利し、今シーズン初めて首位に浮上した試合となりました。

二塁に滑り込んだパーラと守る山田哲人

 数多の評論家の最下位予想を裏切りまくって、現在スワローズは上位をキープしています。

 好調の陰には相手が起こしてくれた(ひとつは半分身内ですが)さまざまな【バグ】がありました。しかし、今後我々が【バグ】を起こす側になる事もあるでしょう。

 コロナ禍の中、さまざまなストレスや怒りの感情が高ぶりやすい状況ではありますが、もしそういった【バグ】をスワローズが起こしてしまったとしても、それに対してただ怒るだけではなく、少し楽しもうとする余裕を心の中に持っておく事が大切なのではないかと思います。

 シーズン終了時に「今年の評論家は皆【バグ】っとったなー」と言えるシーズンになるように、残り試合も全力で応燕します!

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