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組長の出身団体のはずが……

 それにしても、神戸山口組の組長である井上は山健組の出身のはずだ。にもかかわらず、井上の後継で山健組組長となった中田浩司も現在、逮捕され勾留中で離脱などの明確な意思は示していないが、警察当局によると、山健組を独立させる意思だという。

神戸山口組の井上邦雄組長 ©️時事通信社

 神戸山口組をめぐる動きと井上の人物評について、警察庁幹部が指摘する。

「山口組の5代目体制時代に、井上は対立抗争事件で長期間の懲役に行っている。この点を渡辺が大きく評価していた。このため、渡辺は刑務所から帰ってきた井上を山健の後釜に据えた。懲役に行くことはヤクザの社会では評価されることだろうが、組織運営でリーダーシップを発揮できる資質を備えていることとはまた別問題だ」

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警察も山口組各団体の動きを注視している ©️iStock.com

 井上の人物評について語った警察庁幹部が、双方の幹部の心境を推測する。

「6代目山口組側もそうだが、神戸山口組側の最高幹部はかなり高齢となっている。対立抗争事件で狙われるようなことをするよりも、今となっては命の保証、生活を維持できる資金の確保の方が優先事項ではないか。神戸山口組側の最高幹部はヤクザというよりはビジネスマン的だ。報復しないというのは良いことだが……」

 迷走を続ける山健組。動向次第では暴力団業界に大きな地殻変動を起こす可能性が高い。

 関東を拠点に活動しているある指定暴力団幹部がつぶやいた。

「山健には親しい知人がいた。最近というか、少し前から連絡が取れない。山口組が分裂して神戸山口組となり、その後も動きが色々とある。あいつは今、どうしているだろうか」(敬称略)