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栗原選手の原点 そして支える家族の想い

 母・ルミさんは日々、連絡するキッカケを待っているそうです。

「サヨナラヒットとかホームランとかあると、家族のグループラインで『おめでとう』と言います。開幕戦の時は、『ホッとした~』って返ってきました。一言ですけどね」

 結果が出ていなかったときは、ルミさんも我慢の日々でした。野球のことは父・和弘さんに任せて、“頑張って”見守っていました。「見守るのもしんどいですよね」そう言って連絡するキッカケを待っていたら……25打席ぶりのヒットがホームラン! そして、その翌日25日には人生初という満塁ホームラン! この日はなんと父・和弘さんの誕生日でした。試合は逆転負けで勝利に繋がる一打とはなりませんでしたが、父への何よりのプレゼントとなりました。

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少年時代の栗原選手

 幼稚園の時のクリスマスにグローブとボールをプレゼントしたことから始まった栗原家の野球生活。毎朝、父と子のキャッチボールから1日がスタートしました。

 小中高と野球三昧の毎日の中で、苦しいときも当然ありましたが、栗原選手は一度も「野球を辞めたい」と言うことはなかったそうです。逆に、「プロ野球選手になりたい」と明言することも高3で進路を決めるまではなかったとのこと。特別な目標ではなく、野球があるのが当たり前の日々。今も、その延長線上にいるのかもしれません。

 家族も当時から変わらず応援し、シーズンオフに実家に帰ってくるのを心待ちにしています。父・和弘さんは、練習相手が出来るように「身体を鍛えておかないと」と張り切っているそうです。

 今年から寮を出て、人生初の一人暮らしをはじめた栗原選手。そのスタートがコロナ禍だったので、母・ルミさんは心配で仕方なかったそうです。

「ご飯どうするんだろうとか本当に心配で心配で。毎日(一人暮らしの家に)荷物を送っていたんですが、ある時『もう本当に大丈夫やで』って優しく断られました(笑)」

 普段の生活からいろんなことが野球に繋がっていくだろうと思うからこそ、いつになっても親として心配も尽きません。

母・ルミさんが栗原選手と最後に撮った2ショット写真

 今季、プロ野球選手として更なる一歩を大きく踏み出した栗原選手。今回、母・ルミさんへの電話インタビューを通して、現在の栗原選手の原点や支える家族の想いを垣間見せて頂くことができました。ありがとうございました。

 最後に、ルミさんに拝借した母と子の2ショット写真。

「陵矢は照れ臭いのか、私と写真撮るの嫌がるんですよ~」

 そう言って送って頂いた最後に撮った2ショットは栗原選手が2歳の時にまで遡りました。「ユニフォーム姿の陵矢と写真撮りたいんですけど、まだ叶ってないんです」という母・ルミさん。コロナが収束し、球場で親子の2ショット写真を撮れる日が早く来ますように。

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