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"人取橋の戦い"を彷彿とさせる「銀次と内田の正一塁手争い」

「あれは鬼庭左月斎様か!? いや、いかりや長介殿か!? いやゴリラか!!」
「誰がゴリラや!」
でお馴染みの内田靖人選手である。

 内田選手、今季はここまで打率.244、本塁打5、打点16、出塁率.358、得点圏打率.455(8/1終了時)。本塁打3本は全て得点圏での打席で放っており、ここぞという時の勝負強さを存分に見せつけておる。

 最近の試合で印象に残っておるのは、7月19日の西武ライオンズ戦7回裏。浅村選手の技ありタイムリーで同点と致し、満塁という絶好の場面で迎えた第4打席。この回160キロの自己最速を叩き出していた平良投手の初球、やや高めに浮いた外角の直球を確りと叩き逆方向へ本塁打を放った。今年初めに自主トレをともに致した、師匠・浅村選手が塁上に居る前で放った本塁打は、イーグルスファンにもライオンズファンにも強烈な印象を与えたに違いなかろう。

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 第2打席でも初球を上手く右前に安打致しており、甘く入ってきた球を決して打ち損じない。捉える技術も向上しておる内田選手。体格も打撃フォームも使用バットも浅村選手とほぼ同じな内田選手。浅村選手の指南効果も相まって今季は真覚醒の予感か……?

 昨季、球団初のイースタン制覇を達成した折、2軍チームの主力として活躍した内田選手。その時、指揮を執っておった三木監督は内田選手を傍で見ておった故に心中にある期待感は強いであろう。

 球界屈指の巧打者・銀次選手と球団期待の右の和製大砲・内田選手。両雄が正一塁手を争う、イーグルス家中での熾烈な戦い。その激しさは、政宗様のお父上、輝宗公の弔い合戦として、蘆名・佐竹らの連合軍と刃を交えた人取橋の戦いを想起させるほどじゃ。

 1988年生まれ32歳の銀次選手と1995年生まれ25歳の内田選手。歳の差は7つ。東北生まれ(銀次選手は岩手県、内田選手は福島県)であり、捕手から内野手に転向という点も同じである二人。互いをよく知っておる事であろう。

 銀次選手に内田選手、一体どちらが正一塁手となるのか。

 .........

 うーーーむ。

 正直申せばMyHEROが試合に出て欲しい!!

 銀次選手が打席に立って、バットくるくる致してヒットを放ってチームが勝つ!! これがこの上ない喜びであり、わしの生き甲斐でもあるのじゃ。

 されど、戦国の世と同じく群雄割拠のプロ野球界においては、しのぎを削る猛者たちが居らねば自軍の力は上がり申さん。好敵手が現れた時こそ、己の技術を3度磨き直し、認め合い、切磋琢磨致す。

 銀次 対 内田

 正一塁手の戦いは自軍の改革を進める三木監督の狙いの一つなのかもしれないのう。

 試合前、ベンチ前で黙々と素振りをする銀次選手。一方でベンチ後部の席で静かに試合開始を待つ内田選手。どちらかと申せば、真面目でおとなしい性格と存ずる両雄の静かなルーティンの最中にも「正一塁手」もとい、「日本一」を掴むべく、炎炎と闘志を燃やし続ける。

 最後に……

 本来であれば8月6日から3日間、杜の都・仙台の地で開催される筈であった仙台七夕まつり。残念ながら今年は流行病(はやりやまい)の影響により中止と相成った。仙台に住まう人々も勿論の事、来仙する多くの観光客も魅了する仙台七夕まつりは伊達政宗様の時代より続く伝統行事。七夕飾りの一つ、「短冊」へ文字を書く事(現在は願い事を書くが、当初は詩歌を書いておった)は政宗様が学問や書の上達のために奨励したのである。

 然らばわしも此度のコラムに願い事を書き留めて参らん。

「今季のプロ野球が最後まで行われ、東北楽天ゴールデンイーグルスが日本一となりますように」

©片倉小十郎景綱

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