“Wシンタロウ”でのお立ち台が夢だった……元阪神・横田慎太郎が語る藤浪晋太郎の“凄み”

文春野球コラム ペナントレース2020

横田 慎太郎 横田 慎太郎
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とんでもなかった外野からの送球

 一番印象に残っている出来事は2年前に鳴尾浜で一緒に外野ノックを受けたことがあったんです。藤浪さんは調子が悪くて、外野から本塁への遠投でフォームとかをチェックしていたんだと思いますが、その送球がとんでもなくて……。一流の外野手が投げるような本当にすごい球を投げていて。目の前で「えげつな……」ってつぶやいてしまいました。江越さんとかも肩強いなと思って見ていたんですけど、次元が違いましたね。それでも、藤浪さんは首を振って納得いっていない様子だったんですけど、こちらが首を振りたくなるぐらいのボールでした。足もめちゃくちゃ速いんです。特に短距離。ストライドも広くて、僕より全然速いですからね。ピッチャーの中でも断トツ一番じゃないですかね。

 藤浪さんと同じユニホームを着れて、学んだことは少なくありません。あれぐらいのスター選手でも、これだけ悩んで、苦しんで。でも、藤浪さんは踏ん張って、絶対にまた勝つんだという気持ちを持って2軍でもずっと練習していました。僕はそれを見てきました。この状況を変えてやるという気持ちが周囲にも伝わってきました。ああいう時間に耐えてきたからこそ、また勝てたと思いますし、素晴らしいです。

 同じ“シンタロウ”という名前で、僕はすごく嬉しかったんです。密かに、いつか甲子園で藤浪さんが投げて、僕が打って、一緒にお立ち台に上がれたら良いなと結構、本気で思ってました。それはもう叶わないですが、これからは1軍のマウンドで投げる藤浪さんを1人のファンとして応援していきます。またいつか、甲子園のスタンドから見てみたいですね。

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©スポーツニッポン

構成/チャリコ遠藤

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