「レジ袋有料化ルール」3つの抜け道
国が定めたレジ袋有料化のルールには、三つの抜け道が用意されている。一つは、厚さが0.05ミリメートル以上のもの。使い捨てではなく繰り返し利用できるという理由だ。二つめは、ごみとなって海に流れ込んでも自然に分解されて消滅する「海洋生分解性プラスチック」だけでできているもの。そしてもう一つが、バイオマス素材が重さにして25%以上含まれているものだ。
この「バイオマス素材」がわかりにくい。「生物」を意味する「バイオ」は、困ったことに、「環境によい」というプラスイメージを与える魔法の言葉としてよく使われる。バイオマス素材を含むレジ袋なら、国も無料配布でよいといっているし、プラごみの削減にも役立つのではないか。そんな誤解まで生みそうだ。
バイオマスプラスチックも放置すれば「永遠のごみ」
すこし整理しておこう。バイオマスプラスチックとは、生物由来の原料を使って作るプラスチックのことだ。その多くはサトウキビなどの植物を原料にしている。植物は成長するとき大気中の二酸化炭素を吸収する。バイオマスプラスチックを焼却処分すれば、石油から作ったプラスチックと同様に二酸化炭素が出るが、植物が成長段階で吸った二酸化炭素とプラスマイナスでゼロとみなそう。だから、二酸化炭素を増やして地球温暖化を進めることはない。そういう理屈になっている。
注意が必要なのは、いま説明したように、地球温暖化を考えるとバイオマスプラスチックは有効かもしれないが、「ごみ」としてみた場合は、ふつうのプラスチックと変わりはない点だ。「バイオ」と名がつくからといって、そして植物から作ったからといって、生ごみのように、放っておけば土にかえるというわけではない。放置すれば、分解されることなく、いつまでも野や海を汚し続ける「永遠のごみ」になる。地球にはやさしくない。
どうも、バイオマスプラスチックが「生分解性プラスチック」と混同されているようだ。生分解性プラスチックは、微生物などの働きにより、自然界で二酸化炭素と水に分解されて消滅するプラスチックだ。だが、それには、たとえば温度が60度以上になる土の中といった条件があって、適当にポイ捨てしても、そのうちなくなるというものではない。むしろ、早期に細かい「マイクロプラスチック」となり、生き物の体内に取り込まれやすくなるという指摘もある。
「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」を合わせて「バイオプラスチック」という。ここが、ややこしい。バイオマスプラスチックの話なのに、それをバイオプラスチックと誤記している例も、よくみかける。植物由来のバイオマスプラスチックでも生分解性とは限らないし、石油から作ったプラスチックでも生分解性を持つものもある。