「プラごみ削減」に対しては実効性に欠ける
繰り返しておこう。レジ袋有料化に関する国のルールには、「バイオマス素材」の抜け道がある。これは、プラごみ削減の観点から設けられたものではない。地球温暖化の進行抑制という別の目的が混入した。地球温暖化も、早急に対策を講じて行動すべき大きな問題ではある。広くとらえれば、レジ袋の有料化も地球の環境を守る方策の一つであり、そこに温暖化防止策を潜り込ませても問題ないという見方はあるだろう。だが、二つの別の目的を混在させたため、わかりにくく、しかもプラごみ削減という喫緊の課題に対しては実効性に欠けるルールになってしまったことは否めない。
レジ袋は便利だ。そして、有料化に反対しようと思えば、いくらでも理屈はつく。「プラスチック全体の数%にすぎない」「新型コロナウイルスの拡散防止に使い捨てレジ袋は有効」「ごみ袋に再利用している」という具合に。私たちは、買った品物を無料のレジ袋に入れてもらって持ち帰るこれまでの便利な生活を、なかなか捨て切れない。レジ袋の無料配布が続くのも、そうした消費者心理の反映なのだろう。
だからこそ、レジ袋を始めとするプラごみを削減するには、市民一人ひとりが気持ちを切り替え、これまでの行動を変える必要がある。国がルールに抜け道を設けようとも、私たちがそれに惑わされる必要はない。プラスチックを使うべきところには使い、不要な場合、我慢できる場合は使わない。無料のレジ袋を出し続ける店があっても、もらわなければよいだけの話だ。これからのプラごみ削減は、ようは私たちの出方しだいだ。