第1位 Iホテル 605号室 ビジネスホテル 6月某日
多くの車が行き交う大通りから路地を入ったところにエントランスがあり、以前から気になっていたホテル。一見マンションのようであり、フロントもマンションの管理人室的な雰囲気でいろいろなモノが置かれ雑然としている。チェックイン。建物の経年感は否めないが、立地は良いし、周辺ホテルと比較すればかなり安めの料金設定である。泊まるだけだったらいいんじゃね?と部屋へ。
姉さん!事件です!!(ドラマ「HOTEL」より) 掛布団が破れ、なんとガムテープで補修してあるではないですか。柄物掛布団にテープの茶色がよく目立つ。「やっつけ仕事」とは、まさにこのような仕事をあらわす言葉だろう。
あまりにショッキングで換気扇の轟音に気付かなかった。泊まるだけだったらいいんじゃね?とは書いたが、「泊まる」が「寝る」を意味するのであれば、この布団とこの轟音、かなり難儀するのではないかと思われる。
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いろいろと記憶を辿ってみたが、高級ホテルが出てこないのは当然として、ビジネス、カプセル、ラブホテルとバラエティに富んだ結果となった。1軒は廃業してラブホテルとなり、その他もリブランド等でいまではその面影もないホテルは多い。
振り返れば、2014年当時は訪日外国人旅行者の激増で様々な業態のホテルが活況を呈していた。インバウンド客など、リーズナブルな宿を求める旅行者にこうした格安のホテルは旺盛な需要があったので、様々な個性的なホテルと出会うことができた。しかしいまやコロナ禍で、宿泊業は全体的に苦戦を強いられている。一日も早く気兼ねなく泊まり歩ける日が来ることを願いつつ、まだまだある個性的なホテルの思い出を、またの機会にお伝えしたいと思う。
写真=瀧澤信秋