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第2位 Hホテル 113号室 ビジネスホテル 10月某日
夜の歓楽街の奥の奥まで進みすっかり暗くなった住宅街の一角。女性ひとりで歩くのは憚られるほどの雰囲気だ。強い雨ということもあり寂寥感が漂う。目的のホテルに到着。名前には旅館とあるがホテルである。
階段を上がりフロントへ行くと誰もいない。「館内パトロール中」との掲示。コールボタンを押せとあるのでプッシュすると、突然向いのドアが開いて男性スタッフが出てきた。部屋は113号室なので1階かと思いきや、エレベーターで地下1階へ行けとのこと。部屋へ入ってわかった。正確にはここは地下ではない。半地下である。上部にあったサッシを開けてみると上から雨が吹き込む。わずかに外界が望めた。
外出しようとルームキーを預けようとするもフロントには相変わらず誰もいない。大声で呼ぶと向かいの部屋から先ほどの男性スタッフが「カウンターの上に置いといて!」と言う。1時間半ほどで用事を済ませ戻ってくるとキーは置かれたままであった……。
外国人旅行者(バックパッカー)が多い様子で、フランクな雰囲気も好まれているようだった。いまとなってはハイセンスな施設としてリブランドされているが筆者にとっては思い出深いホテルだ。