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 7月27日、金氏が再び北朝鮮に渡ったおよその経路が発表された。金氏は、金浦市に隣接する江華島の排水路から漢江に出て、泳いで北朝鮮に渡ったという。排水路近くに捨てられたカバンからは480万ウォン(約42万円)をドルに換金した領収書が見つかっている。排水路にはセンサーが仕掛けられた鉄柵があり、接触すると非常ベルが鳴る仕組みになっていたそうだが、金氏はこの鉄柵の下をくぐり抜けたとされた。

金氏が脱出に使った排水路 ©時事通信社

韓国疾病管理本部は「陽性患者として登録されていない」と発表

 7月28日、鄭景斗国防相は今回の事件で謝罪に追い込まれた。

 一方、北朝鮮が主張する、金氏の新型コロナウイルス感染については、電算システムの陽性患者としても登録されておらず、また、接触者管理記録にも金氏の名前は認められないと韓国疾病管理本部が公式に発表している。

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 では、北朝鮮がコロナを持ち出して、わざわざことを大きくした背景には一体、どんな意図があったのか。朝鮮戦争休戦協定締結から67年となった27日には、「核で国の安全と未来、永遠に保証」と金正恩委員長は演説したが、やはり国内の結束向けだったのか。

 ちなみに今年1月~5月まで韓国に入国した脱北者はコロナ禍の影響からか610人と前年と比べて42.6%減った。ここ5年間で北朝鮮に再度戻った脱北者は11名だといわれている。