「体調が悪くなっても、大学生はPCR検査を受けることは難しいと思っているし、受けようともしないのです」
都内の私立大学准教授の男性(50代)はこう話す。
同居している親にうつされた可能性のある男子学生は発熱が2週間続いたが、親も本人もPCR検査を受けなかった。女子学生は発熱が1週間続いたがPCR検査を受けず、1人暮らしのために買い物にも出ていたという。
リモート続ける大学「対面の授業は絶対にやりたくありません」
「そもそも若い人は症状が出ない場合が多いとされるし、誰が感染しているか、何人感染しているのかまったく分かりません。感染が恐くて、対面の授業は絶対にやりたくありません」(同)
大学の教員は高齢者が多い。准教授の周りの教員は皆、対面授業再開を嫌がっているという。
それは大学生の不満にもなっている。コロナ自粛でアルバイト収入がなくなる中、リモート授業にも関わらず学費は全額払わなければいけない。
「知人の女性教員は、リモート授業をしている時に、小学生の息子がふざけて画面に映り込んでしまいました。それを見た学生の1人が、『授業中にふざけているのに、何で学費を払わなくてはいけないのでしょうか』と大学にクレームを入れたのです。教員も神経質になっています」(同)
“見えない感染”は、こうした余計な対立も生んでいる。
この大学は9月以降もリモート授業を続ける予定だ。多くの大学も同様に、全面的な対面授業の再開について3割が「9月以後」、6割は「検討中」という(文科省調査、7月1日時点)。
妻に内緒で飲み会に参加
PCR検査を受けないのは若い人ばかりではない。
「コロナに感染したかもしれません。それも2回も……」
都内に住む40代の男性はこう打ち明ける。
7月の第2週に強い倦怠感に襲われ、体調が悪化した時に出る神経痛に悩まされた。咳や熱は出なかったが倦怠感は1週間続き、神経痛はさらに1週間続いた。
「知人の医者に相談すると『コロナかもしれません』と言われ、PCR検査を勧められましたが、受診しませんでした」(男性)
男性は、都心の雑居ビル内の事務所に電車で毎日通勤している。仕事の多くは電話やメールで済ませ、外に出るのはランチ程度。妻が怒るために早めに帰宅している。
心当たりは、コロナ自粛で延期されていた飲み会が6月末から2件続いたこと。2件とも10人程度集まったが、妻に内緒で参加したため飲み会で感染したとは言えず、PCR検査は受診しなかった。