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「数日して、妻も体調が悪化したんです。妻にうつしたかもしれないとビクビクしましたが、妻は私より軽症だったため、うやむやになりました」(同)

 男性は倦怠感に襲われている間も毎日通勤した。

「検査で陽性が出て療養や入院になれば仕事に支障が出る。妻に怒られなくても受診しなかった」(同)

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無症状や軽症だった場合は抗体ができない可能性あり

 男性は2月初旬にも感染していた可能性があると語る。高熱に襲われ、解熱剤を飲んで数日で治まったが、その後は咳が酷くなり寝るのも苦痛だった。

「1月末に、取引先の人たちと7、8人の飲み会がありました。座敷で蟹すき鍋を食べたので、今思えば3密。その中の1人が高熱を出し、インフルエンザだと思って受診すると陰性だった。しかし感染者が出はじめた頃で、彼も、そして私もPCR検査は受けませんでした」(同)

 2件の飲み会の参加者に感染者が出たとは聞いていないが、自身も体調悪化は参加者に話していないという。

 抗体検査が6月にはじまるとすぐに受診したが結果は陰性だった。

男性の抗体検査結果。T1に赤いシグナルが出ると感染中、T2に赤いシグナルが出ると抗体検出の意味(著者提供)

――症状は人それぞれ違いがあり、無症状や軽症だった場合は抗体ができない可能性もある。感染が2回続く場合もあるかもしれない……。推測ばかりだが、相談した医師にそう言われた。

症状があってもPCR検査を受けない人たち

 入院治療等を要する感染者の中で、重症化する割合は50代が1・7%、60代は6・4%に上がる(厚労省、7月22日時点)。その高齢者で早い段階に苦しんだ人がいる。

 都内に住む60代後半の会社経営者は、昨年12月25日に発熱。39度まで上がり、下がるとまた上がるが2週間続いた。

「咳も酷くなり、息をすると肺が痛むために年末に病院に行きましたが、インフルエンザは陰性で、『軽い気管支炎でしょう』と言われました。味覚が失われ、おせち料理はほとんど食べませんでした。妻も直後に体調が悪化しましたが、妻は私より早く回復しました」(会社経営者)

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 主治医には後に「コロナだったのかもしれません」と言われた。

 国内の感染者第1号は、1月3日に中国の武漢で発熱、帰国後の16日に感染が発表された30代男性だ。会社経営者が本当に感染していたとすれば大事だが、その後は体調を崩すこと無く、抗体検査を受けるつもりもないという。

 PCR検査で陽性が発覚したら日常生活に支障が出る。感染が疑われてもPCR検査を受けない人は多くいるだろう。これでは高齢者はもちろん、感染を恐れれば街に出ることは難しい。