映画はもちろん『ノストラダムスの大予言』の記述をベースにしているのだが、名優・丹波哲郎演じる主人公で環境学者の西山良玄が、先祖代々(幕末から)、ノストラダムスの「諸世紀」を研究している家系という設定。良玄は人類の環境開発及びその破壊が人類自身の滅亡を招くと提唱するが、逆に非難を浴びてしまう始末。だが、彼の不安は的中し、太平洋上の海面が凍り、エジプトで降雪。さらに成層圏に滞留した放射線がニューギニアに降り注ぎ、動植物が巨大化。食人鬼と化した原住民が調査隊に襲いかかる……! 巨大化したナメクジなども出現するが、これが結構カワイイ。
個人的なみどころは2つ。良玄が、由美かおる演じるひとり娘のまり子と、黒沢年男演じる婚約者の中川明に「時に、済んだかな?」と、食後に婚前交渉について笑顔で聞くシーン。当時は父親と観に行っており、なんともバツが悪かったが、今観直すと、丹波節炸裂で非常に心に突き刺さる。もうひとつは、世紀末というか人類滅亡に至る怪事件のひとつに、“開発大臣が木に登り、「どんぐりころころ」を歌い出す”というシーンがあって「そうか、大臣が木に登るようになったらこの国はオシマイなんだ……」と思った次第。
この映画、当時は文部省推薦だったが、これまで一度も映像ソフト化されていない。ラスト近くに登場する、“核戦争後の新人類”がその理由との説もあるが真偽は不明。’74年度の邦画興収第2位という立派な成績が大ヒットを証明していよう。今一番、観直したい映画だ。Blu-ray化、熱望!
『仮面ライダー』や『マジンガーZ』にも登場したノストラダムスの兄弟!?
さて、ノストラダムス・ブームは時の『仮面ライダー』にも影響を与えた。’74年放送のシリーズ第3弾『仮面ライダーX』第13話のサブタイトルはズバリ「ゴッドラダムスの大予言!」。日本転覆を狙う国際秘密結社GOD機関の怪人・ユリシーズが変身した予言者・ゴッドラダムスが、予言によって人心を惑わし、その隙に電話ボックスに仕込んだ殺人ガスで東京全滅を図るというもの。もちろん最後は、仮面ライダーXの活躍でユリシーズは倒されるのだが、以来筆者はノストラダムスと聞くと、パブロフの犬的にゴッドラダムスを思い出してしまう。