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マスコミ志望の大学生が暴いた

「博士ルーム」や他の「n番ルーム」もラインのようなチャッティングアプリ「テレグラム」を利用していた。「テレグラム」本部はロシアにあるともいわれるが、真実かは定かではない。

 韓国紙記者が言う。

「テレグラムは、ロシア政府が事件の捜査に協力するよう求めた際にそれを拒んだ逸話があり、韓国の若い世代には“反権力”の存在として、そして、セキュリティが高いという認識が広まって、人気が出たといわれています。

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 今回、そのセキュリティが高いといわれたテレグラムからどうやって『博士ルーム』などの『n番ルーム』の存在が暴かれたのかにも関心が集まりました。デジタル性犯罪の撲滅を目的に活動している市民団体が会員を装って、ルームに入場し、会話などをキャプチャー。それを証拠として警察に捜査依頼を行ったことが捜査のきっかけだったといわれています」

 中でも、「博士ルーム」の存在は、マスコミ志望の大学生が暴いたことが報じられた。

©:iStock.com

 韓国のプロファイラー(犯罪心理分析官)の第一人者は捜査過程をこう解説する。

「警察はたれ込まれた情報をもとにまずIPアドレスを突き止めました。しかし、犯人は身元を追跡されないよう、自宅ではネットを使わず、ネットカフェやWi-Fiがある公共の場、移動中のバスの中などで投稿していた。警察はそれぞれの場所を特定し、出入りする人物を洗い出し、クロスチェックしながら容疑者を絞りました。

 容疑者が絞られてからは、携帯や自宅のパソコンのハードディスクにある動画などを押収して逮捕。また、今回は、入場料はビットコインなどの仮想通貨を使っていたものの、仮想通貨を現金に交換する際は、実名を用いなければならず、そこからも足がついたと聞いています」

サイバー空間では簡単に他人をコントロールできる

 逮捕されたチョは、ソウル郊外にある短大で情報通信を専攻。成績は優秀で大学新聞の編集長も務めた。幼い頃からの知り合いは、チョに元々女性を嫌悪するような傾向もあったものの、家が貧しいため、今回の犯行の一番の目的はカネだったのではないかと韓国メディアに話している。前述のプロファイラーはこう分析する。

「チョの目的は、他人を支配することです。人をコントロールすることが目的で、権力志向でもある。自分が上に上って権利を掴むのなら良かったのかもしれませんが、他人を貶めて自分の権力を高めようとした。おそらく、サイバー空間では意外にも簡単に他人をコントロールできるということをある瞬間、知ったのだと思います。