2020年上半期(1月~6月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。ライフ部門の第3位は、こちら!(初公開日 2020年3月17日)。
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顔の中心に位置するメガネの汚れは、案外目立つもの。こまめなケアが欠かせないが、その正しいケア方法は知らないという人も、じつは多いのではないだろうか。自己流では、逆にメガネの寿命を縮めてしまう恐れも……。
そこで、メガネの拭き方をはじめ自分でできる基本的なケアについて、老舗眼鏡専門店「イワキメガネ」神保町三省堂店、店長代理の古川秀光さんに話を訊いた。(全2回の1回目/後編に続く)
(1)いきなり乾拭きはNG!
――毎日メガネを使っていると、いつの間にかレンズが汚れていたりします。つい服の裾などで拭いてしまうという人もいると思うのですが、本来どのように汚れを落とせばよいのでしょうか。
古川 まず、基本的にメガネの乾拭きは避けてください。レンズには、空気中に舞っている砂ぼこりや花粉、小さなゴミなどが、気が付かないうちに付着しています。その状態で乾拭きをするとレンズにゴミをこすりつけているようなもので、傷がついてしまうんです。メガネを拭くときは、まず水で汚れを洗い流すようにしてください。
――メガネ全体を水で洗ってしまって良いんですか。
古川 一部の天然素材をのぞいては、水洗いしても大丈夫です。そのあと、ティッシュペーパーや柔らかい布できちんと水気を拭き取り、それからメガネ拭きで乾拭きして仕上げてください。濡れたまま放置すると、レンズに水滴の跡が残る“水やけ”や、金属パーツの錆などの原因になってしまいます。
――拭き方にコツはあるのでしょうか。
古川 まずひとつに、拭くときに力を入れ過ぎないこと。レンズに傷がついてしまうばかりか、フレームが歪んでしまい、掛け心地や見え方にまで不具合が生じてしまいます。とくにブリッジ(左右の枠をつなぐ部分)は、力がかかりやすい部分です。破損を避けるためにも、拭く側のレンズのフチを持って拭くようにしてください。
(2)石鹸や弱酸性のボディソープでコーティングが剥離
――なるほど。とはいえ、汚れがひどいときは強くこすってしまいがちです。
古川 皮脂などの頑固な汚れがついているときは、メガネ用のクリーナーを使うといいでしょう。スプレータイプやムースタイプ、ウェットティッシュタイプなど様々な種類が販売されています。持っていなければ、台所用の中性洗剤でも代用が可能です。
ここで大切なのは、“中性”であるということです。石鹸などアルカリ性のものや、弱酸性を謳ったボディソープなどを使うと、レンズ表面のコーティングが剥離してしまう可能性があります。