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「都道府県魅力度ランキング」最下位からの大逆転

 茨城県は、ブランド総合研究所から毎年発表される「都道府県魅力度ランキング」で、7年連続全国47都道府県中の最下位になっている。この調査は過去11回実施されているが、茨城県は12年の46位を除き、10回最下位に沈むという不名誉な地位に甘んじてきている。

 昨年の調査結果発表にあたっては、茨城県内に台風で大きな被害が出ている年に、さらに県民のプライドを傷つける発表だとして茨城県知事が抗議し、調査会社が謝罪。サイト上では30位までしか記載しない処置までとられる事態になった。

茨城県つくば市 ©iStock.com

 そんな不人気県代表の茨城県だが、アフターコロナにはおおいに見直されるのではないかと思われる。茨城県は利根川を挟んで千葉、埼玉と接する。東京から40キロ圏には取手が入り、60キロ圏まで拡大すれば土浦やつくばが入ってくる。この距離感は神奈川県でいえば平塚や大磯、三浦付近と一緒になる。

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 ところが2005年につくばエクスプレスが開業するまでは、県内から東京に向かう通勤に使える鉄道はJR常磐線のみ。しかもこの路線は老朽化が進み、車両故障も多く、2015年に上野東京ラインが開通するまでは上野止まりだったことから、東京に通うサラリーマンの住宅地としての地位は神奈川方面などと比べると低いものだった。

野菜、果物、魚……なんでも美味しい!

 だが、アフターコロナでは、様相が変わってきそうだ。月数回の通勤を前提に、基本的に1日を自分が住む街ですごすことから見直すと、茨城県の魅力がわかってくるはずだ。

 たとえば、意外と知られていないが茨城県は食の宝庫だ。農業産出額は北海道、鹿児島に次いで全国3位。米や、東京向けに出荷される野菜、果物など品ぞろえも豊富だ。特にメロンやいちご、梨やすいかなどは高品質のものが多い。県内でメロンなどを扱う農家の中には、年収が数千万円から1億円を超えるところも珍しくない。

©iStock.com

 また茨城県の沖合は、日本海流と千島海流がぶつかる国内でも有数の漁場だ。カツオやヒラメなどの高級魚の他、アンコウは冬の鍋料理に欠かせぬ存在だ。県内には利根川のみならず、那珂川、久慈川などの河川が多いことから鮎や鰻などの川魚も食卓を飾る。

 豊かな水源は酒造りにも最適だ。「大観」や「結」などの日本酒は首都圏のみならず全国に出荷されている。肉も肉質等級4級以上を誇る常陸牛は高級和牛として知られる。