2020年上半期(1月~6月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。社会部門の第4位は、こちら!(初公開日 2020年2月29日)。
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本連載ではこれまで、私が出会った様々な事故物件を紹介してきました。集団自殺が起きた数年後、床下から白骨化した遺体が見つかった“関西最恐の事故物件”。最初の入居者が焼身自殺した後、次の入居者も自ら命を絶ってしまった北九州のマンション……。実はこれらの事故物件には、ある共通点があります。それは、「競売にかけられたことがある」という点です。今回は、そんな競売と事故物件の“深い繋がり”について、お話ししましょう。(全2回の1回目/後編に続く)
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ヤフオクで売られた事故物件
競売とは、民事執行法に基づく、債権回収のための手続きのことです。たとえば、まだ何十年も住宅ローンが残っている時点で住人が亡くなり、そのローンを払う人が誰もいなくなったとします。この場合、お金を貸していた銀行などの債権者は、残りの金額を回収するために、裁判所へ申立てを行います。それを受けて、裁判所が物件を差し押さえ、売却するのです。
また、似たようなケースで、何かしらの事情で税金が払えず、滞納し続けている人の物件を役所が差し押さえて、強制的に売りに出してしまう「公売」というものもあります。この2つは、合わせて“競公売”と言われたりもするのですが、今回はまとめて「競売」と呼びたいと思います。
私の経験上、事故物件と競売物件は不思議と重なり合う部分が大きいのです。記憶に新しいのは、平成28年(2016年)に売りに出された、千葉市の物件。そこはバブル期に建てられた、洋館のような10LDKの豪邸でした。ただ、なにより注目を集めたのが、そこが事故物件であることと、出品先がヤフーオークションだったことです。
そこは固定資産税の滞納で差し押さえられ、競売(公売)にかけられた物件でした。しかし、物件情報の欄に「平成26年1月に建物内で殺人事件が発生した物件です」と書かれていたことで、「ヤフオクで事故物件が売られている」と、ネット上で大きな話題になりました。