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鹿賀丈史、松田優作、長渕剛、櫻井翔……4度の映像化『家族ゲーム』は30年をかけて何を描いてきたのか

鹿賀丈史、松田優作、長渕剛、櫻井翔……4度の映像化『家族ゲーム』は30年をかけて何を描いてきたのか

『3年A組~今から皆さんは、人質です~』にも繋がるテーマ性

2020/08/12
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 子どもたちは大人の悲劇を醒めた目で見ながら、能動的に本心を隠して別のキャラを演じることを選ぶ。『家族ゲーム』のゲーム性が80年代は「人生ゲーム」という西洋双六レベルの素朴なものであったのが、時代を経て、人格を複数もってサバイブする能力を要するゲームへと進化していく。それが神木隆之介演じる兄・沼田慎一に色濃く現れている。

『野ブタ。』から『3年A組』までアップデートされてきた

 このフジテレビの視点は、最近再放送されて注目された『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系 05年 これも小説が原作)で描かれたスクールカーストを踏襲しているとも言えるだろう。そして櫻井版『家族ゲーム』後、近年稀にみる秀作として話題になった『3年A組~今から皆さんは、人質です~』(日本テレビ系 19年)のネットの匿名性を使った生き残りゲームへとアップデートして語り継がれたと言っていい。というのは櫻井版の脚本家・武藤将吾は『3年A組』の脚本も書いているのである。

『3年A組~今から皆さんは、人質です~』(日本テレビ系 19年)

 理想の国、理想の家族というシナリオに沿っていけば保証された人生がいまやない荒野に放たれた子どもたちはどうしたらいいのか。その問いをプライムタイムのテレビドラマで叫んだのが、櫻井翔演じる吉本荒野であった。

鹿賀丈史、松田優作、長渕剛、櫻井翔……4度の映像化『家族ゲーム』は30年をかけて何を描いてきたのか

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