「『パワハラ問題に取り組む』と言っていた河野太郎防衛大臣と防衛省の対応があまりに不誠実で許せません」

 8月7日、文春オンラインが「退職者続出 陸自の第1空挺団長は“パワハラ”常習者で通称『ハカイダー』」と報じた直後、ある空挺団関係者からこうした声とともに、情報提供があった。

「金銭管理ができていないやつは自衛隊失格だ!」

 この記事は、「ハカイダー」とあだ名される陸自の第1空挺団長、戒田重雄陸将補によるパワハラについて複数の証言をもとに報じたもの。特に波紋を呼んだのが、戒田氏が「金銭管理ができていないやつは自衛隊失格だ!」と激怒し、部下全員の貯金やローンなど、家計について書類を提出させた行為だ。借金を抱えている事実について公衆の面前で罵倒された隊員もいるという。

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記者会見する河野太郎防衛大臣(防衛省YouTubeより)

 この関係者は、8月7日に防衛省で開かれた閣議後記者会見で、記事について問われた河野大臣が、「事実誤認が非常に多い」「ずさん」と切り捨てたことに憤りを感じたのだと語る。

 情報提供された資料は2つ。1つは空挺団の内部文書で、「第1空挺団長」の印が押された指令書で、題名は「金銭管理指導の団統一基準について」。2017年6月29日付で団員が所属する各部隊長に向けられたものだ。

「第1空挺団長」の印が押された指令書

〈隊員の金銭管理状況を把握し、必要な指導を実施する〉

 別紙が付いているので、文書から適宜引用しながら内容をご紹介する。

 目的は〈部隊および個人の金銭管理指導について統一した基準を定め、各部隊の認識を統一し、部隊並びに個人としての常識ある金銭感覚を醸成して人生計画に資するとともに、健全な部隊勤務が遂行できること〉とした上で、2017年7月3日から運用を開始している。

「金銭管理状況の確認」とされた項目には、〈隊員の金銭管理状況を把握し、必要な指導を実施する。特に、要注意隊員(浪費癖があり、過去に借財歴及び返済困難又は無計画かつ多額の借財を有する隊員)については、(筆者中略)通帳の残金を確認し必要な指導を実施する〉としている。その上で、中隊長が年2回の個人面談をし、金銭管理状況を聞き取りし、〈営内班長等は、毎月1回(基準)実施する金銭指導において、通帳(共済組合)の残金の確認及び防衛省ATMによる定積預金の一部解約等の状況について、確認する〉と記されている。

別紙より