2年後には将に昇格し、数万人を指揮する師団長となる
さらに、陸自幹部は、今回の人事についてこう解説してくれた。
「今回の人事で特に若手の隊員から批判が高まっているのは、戒田氏が問題のある人物なのがわかっているのに、河野大臣と防衛省幹部が運用支援・訓練部長という重責に就けたことです。このポストは左遷や降格とはほど遠く、陸自全体の訓練方針を決める上に、災害支援の指揮も担います。激務なのでもともとパワハラ部署との悪評も高かった。パワハラで問題がある人間を就けるようなところではありません。
人事教育部長は階級上は将補(一)で、運用支援・訓練部長は将補(二)なので、降格と言えなくもないですが、これまで超エリートだった人がエリートになった程度。将補(二)になった戒田氏は2年後には将に昇格し、さらに数千人、数万人を指揮する師団長となるのは間違いありません」
結果として戒田氏は人事教育部長に就任しなかったが、問題発覚後も要職に就いていることからもわかるとおり、河野大臣と防衛省がパワハラ問題に対して鈍感であるという事実は揺らがない。
別の陸自幹部は、過度に現場介入を行う戒田氏の指揮官としての資質にも疑問を呈している。
「戒田氏は演習の際、本来後方で指揮すべき大隊長や中隊長を無理やり前線に立たせて『万歳突撃』を強要すると悪名高い。当たり前ですが、そんなことをすれば指揮官は早々に戦死し、現場は大混乱に陥ります。ただ、戒田氏の演習では『特別ルール』として何度も生き返るという非現実な設定が持ち込まれ、もはや自己満足の体たらくです。
これはかつて大日本帝国海軍が大敗したミッドウェー海戦の前に実施した図上演習とそっくりです。戒田氏が将来、師団長や方面総監になれば、中国が攻めてきた場合、『万歳突撃』した指揮官の死体の山が築かれるのではないかと危惧されてなりません」
河野大臣に対する失望感が広がる
そして、記事公開後に筆者に寄せられた声でもっとも多かったのは、河野大臣に対する失望感だ。現役の陸上自衛官からの代表的な声を一つご紹介しよう。
「現在、自衛隊員の河野太郎防衛大臣へ対する期待は非常に大きなものとなっております。大臣自身がTwitterを積極的に活用していることもあり、『彼にDMを送ればもしかして、諸問題の解決に動いて貰えるのでは……』と期待を抱く者も少なくありません。
しかし、河野大臣が正面装備の拡充、組織新設、改編のみに注力することが続き、部外からの忠言を『ずさん』と切って捨てるのならば、その淡い期待ですら早晩霧散することになるやもしれません。
部内で解決できずに部外の方のご尽力に期待してしまうこと自体、心苦しい処もありますが、今後の進展には非常に期待をし、応援させていただきたいと思っております」
これに類した声や情報提供が続々と集まっている。
河野大臣はイージス・アショアの秋田市への計画中止の際にも、実際にイージス・アショアの配備計画を断念したにもかかわらず、報道が出た直後には「フェイクニュース」とツイートした「前科」がある。今回の続報をお読みいただいた上で、前回の筆者の記事のどこが「ずさん」で「事実誤認」なのか、改めてご説明いただきたい。