事故物件の調査をしていると、ときに不可解な物件と出会うことがあります。私が特に気になるのは、なぜか同じ場所で繰り返し事件や事故が発生している物件。偶然という言葉で片付けようにも、どこか説明しきれない“何か”が残ってしまう……。そんなケースに遭遇することもあるのです。

 今回はそうした事例から、少し背筋が寒くなるような事故物件をご紹介しましょう。(全2回の1回目/後編に続く

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三世代同居の一軒家で起きた悲劇

 今から10年ほど前、神奈川県の新興住宅地からほど近い一軒家に、20代の男とその母親、そして祖母の3人が同居していました。他に父親や兄弟はいなかったものの、3人とも血がつながっている、いわゆる三世代同居の形でした。

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 その一軒家で最初に“事件”が起きたのは、年末も近づいた冬のこと。まずは家の中で、男の母親が亡くなっているのが見つかったのです。何か病気を患っていて、医師に看取られながら亡くなった……というわけではなく、40代での突然死だったこともあり、事件性がないかを確認するために、警察が捜査を始めました。

 すると、同居していた男と連絡がとれないことが判明し、警察はその行方を追いました。しかし、それから数日後、男は姿をくらますことなく、自宅に帰ってきました。そこで警察が事情を聴いたところ、男は突如「自分が首を絞めて殺した」と話し始めました。母親と口論になり、思わず首を絞めてしまった、と……。

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 突然の“自白”に、その場にいた警官も騒然としたのではないかと思います。ただ、妙なことに、数日前に亡くなった母親の死体には、首を絞められたような跡など見当たらなかったのです――。

母親は病死として片付けられた

 たとえ「私が殺しました」と名乗り出る人がいたとしても、遺体に他殺の痕跡がなければ、警察も動きようがありません。その後、司法解剖も行われましたが、やはり母親の死因は急性心不全と判断され、男の奇妙な供述は謎のまま、この一件は神奈川県警によって病死として片付けられたのです。

 しかし、それからわずか1週間後。その男が、今度は駅前の交番を訪れ、「口論になり、首を絞めて殺した」と再び警官に告げました。しかし、今回は母親ではなく、祖母を殺したと言うのです。