俳優の三浦春馬さんが7月18日に亡くなって、1カ月が経つ。8月15日放送のドラマ『太陽の子』(NHK)では、最後に「謹んで哀悼の意を表します」とテロップが流れた。主演の柳楽優弥、有村架純らとともに三浦さんが本作で見せた演技や、残した言葉を中心にライターの平田裕介さんが綴る。

*以下の記事では、ドラマ『太陽の子』の内容や結末が述べられていますのでご注意ください。

三浦春馬さん ©文藝春秋

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ドラマ『太陽の子』への真摯な想い

「まったく戦争を経験したことがない僕たちが、イマジネーションを働かせて文献をもとに色んなスタッフ、そして研究者の協力を経て一つの台本になっているわけで、その台本を使い、大きな想像力をお客様に届けていくということが、今後あってはならない……大きな流れを始めさせないきっかけになるんじゃないかなということを、やっぱりどこか信じていきたいし、僕もそんな働きの一部になれたらいいなという風には思いました」

 8月8日の「土曜スタジオパーク」(NHK)で放送された、三浦春馬さんのインタビュー映像。そこで彼は、ドラマ『太陽の子』に陸軍下士官・石村裕之役で関わったことへの真摯な想いを語っていた。

 続けて彼は、劇中で海に身を投げようとするも柳楽優弥が演じる兄・修に止められるシーンについて「自暴自棄になった裕之を戻す。その後に目を覚まさせるために、『平手打ちをしてはどうか』と、前日にリハーサルをした時間の中で、監督と自分が提案したんです。『それすごくいいね』という風に柳楽さんは言ってくださったんですけど、どうしても柳楽さんの優しさが出てしまって、そのモーションに入ると優しく子犬をなでるような、そういう芝居になってしまったというのが印象的なんです」と話した。

柳楽優弥 ©文藝春秋

 スタジオでそれを見ていた柳楽は声を震わせながら、「僕もビンタをするキャラクターではないなということを直前に監督とずっと話していて。それで撮影は進んだんですけれども。でも春馬くんがそう思っていたのを僕は知らなかったんで。ごめんね。犬をなでるような……優しくなっちゃったかな」と返答する。