俳優は「『その先には光がある』と希望を伝えることだって」
三浦さんは『日本製』のインタビューで、俳優が「絶望的な状況に思えても『その先には光がある』と希望を伝えることだって出来」る職業であると誇りを持っているとも語り、「やっぱり前向きに生きていたいですもんね」とその誇りを抱えて進んでいきたいと話していた。そして「30歳になる年を迎えるにあたって漠然と、頑張って海外の作品にも挑戦したいという想いはあります。(中略)僕の大きなゴールのひとつに海外のステージに立ちたいというのがあって」と未来もしっかり見据えているのだ。だからこそ、悔やんでも悔やみきれない。
縁側で手を取り合って未来に目を向けようとする『太陽の子』の3人は、今後の日本の映画やドラマ、舞台を牽引していく3人でもある。その大きなひとつがいなくなってしまったという意味でも、やりきれない。
その後、裕之は還らざる出撃命令を受けて散る。直前に遺した手紙で散ることを詫び、母と兄に「ありがとう さようなら」と礼と別れを告げる。
「あとは目標に到達するために自分が力をつければいい」
海外のステージに立ちたいと三浦さんに思わせた作品は、真珠湾攻撃が起きた後のアメリカに生きる日系アメリカ人一家がたどる過酷な道のりを描いた「アリージャンス」というブロードウェイ・ミュージカルだった。
《最近はもうどんどん「海外に行きたいです」とか「こういう役をやりたいんですよね」とかって言ってしまってます。そういう中で実現することもあれば、実現せずに終わることもあると思いますが、やりたいことがあって、それがさらに具体性を帯びているって、モチベーションにこそなってもマイナスなことは何ひとつないと思うから。あとは目標に到達するために自分が力をつければいい、そんな気持ちでいるんです。》(『日本製』より)
その目標を間違いなく叶えたであろう、彼の未来が見たかった。その目標を叶え、さらなる未来を語る彼を見たかった。それができなくなったことが残念でならない。