新型コロナウイルスの第2波の勢いが止まらない。日本全国での感染者数は5万名を超え、連日1000名前後の新規感染者が確認されている。

 この全世界的な危機に直面している今、日本国内では政治家たちが様々な動きをとっている。小池百合子東京都知事の「天敵」といわれるフリージャーナリスト、横田一氏の新著『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)より一部を抜粋し、コロナ禍の小池知事を中心とした政治の動きを追う。

◇◇◇

ADVERTISEMENT

感染者が急増したのは「都民の努力不足」!?

 2日連続で感染者が240人を超えた7月10日、小池知事が2期目初の定例会見でどんな発言をするのかが注目されたが、ここで口にしたのは「都民の努力不足」と言わんばかりの責任転嫁だった。

「みなさま方に改めて申し上げますと、いま出ている数字もやはり2週間前の一人ひとりの行動がこのような形で数字になって表れているということは、これは変わらないわけですね(中略)。みなさんが気をつけていただき、経営者としても気をつけていただいて、新しい日常を作っていくという、その過程でございます」

©iStock.com

 本当なら東京アラートを赤に再点滅させ、都民の危機感を促すべきだった。そうした職務怠慢を棚に上げ、都知事選対策を優先したことに対する反省もなく、「みなさんが気をつけてください」と責任転嫁したのだった。

 私はこの日も指名されなかったので、小池知事再選後に初めてとなる声かけ質問をした。

「東京アラート」は「大阪モデル」の真似

「知事、都知事選中の甘い対応が過去最高の感染者数を招いたのではないですか? 選挙ファースト、自分ファーストではないですか。知事選圧勝で総理ポストを目指すことしか考えていないのではないですか?」

『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)

 いつものように小池は無言のまま立ち去った。小池都政2期目になっても、選挙に勝ち抜いて権力の階段を最上階まで登り詰めることしか頭にないように見えた。

 もともと「東京アラート」は、コロナ対策で人気急上昇した吉村洋文・大阪府知事の「大阪モデル」の真似だった。コロナウイルス感染拡大に伴う自粛要請・解除について大阪独自の基準「大阪モデル」を作った吉村府政は、その警戒基準として「赤色(警戒レベル)」と「黄色(注意喚起レベル)」と「緑色(基準内)」の3段階を設けた。そして、5月11日から大阪市浪速区の「通天閣」や大阪府庁隣の「大阪城」、万博跡地の「太陽の塔」をライトアップすることにしたのだ。その3日後の14日には、「大阪モデル」の基準(数値目標)が7日連続でクリアされたことから、点滅当初の「黄色」から「緑色」へと変わった。