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感染拡大の責任を棚に上げ、政府のキャンペーンを批判

 7月5日投開票の都知事選で圧勝した直後、東京都の感染者数が過去最高を記録したことなどから、小池と安倍政権との“バトル”が再び勃発した。菅義偉官房長官が7月11日、北海道千歳市での講演で「この問題(コロナ感染者増)は、圧倒的に東京問題と言っても過言でないほど東京中心の問題になっている」と語ったのだ。13日の記者会見でも菅は「全国の新規感染者の中で東京都が半数以上を占めている。こうしたことなどを踏まえて発言した」と補足説明をした。

 これに対して小池は、すぐに反論した。7月13日の囲み取材で「逆に言えば、圧倒的に検査数が多いのは東京だ」と強調、安倍政権が観光消費を促すために7月22日から実施を予定していた「Go Toキャンペーン」について次のように批判した。

「逆にGo Toキャンペーンが始まろうとしている中で、『体調不良の方は都外へお出かけにならないでください』ということは(東京都は)伝えていますが、無症状の方も出ている中で、どう仕切りをつけていくのか」「冷房と暖房の両方をかけることにどう対応すればいいのか」

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©iStock.com

『Go Toキャンペーン』めぐる責任のなすりつけ合い

 責任のなすりつけ合いが始まった。小池は都知事選中から感染者が増えていたのを黙殺して「東京アラート」を出さず、都民の警戒心を緩める方向に舵を切った。都知事選を優先して、まるでコロナ対策がうまくいっているかのような印象を与えたまま、感染者の拡大を招いた。「『Go Toキャンペーン』の延期はまったく考えていない」(7月13日の官房長官会見)と言い切った安倍政権を批判することで、責任転嫁をしながら反転攻勢に出たといえる。

 しかし、小池のこの批判は全国の自治体トップの声を代弁するものでもあった。7月14日に東京で安倍と菅に面談した吉村も、囲み取材で「社会経済の活性化のために必要というのは分かるが、全国的なキャンペーンは今はやるべきではない。感染の様子を見ながら全国的に広げていくのがいい」と語った。(敬称略)

仮面 虚飾の女帝・小池百合子

横田 一

扶桑社

2020年8月7日 発売