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「痛みなくして成長なし」ロッテ選手の筋肉を支える“マッスル鈴木”の教え

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/09/06

 人呼んでマリーンズのキャプテン・アメリカ(映画『アベンジャーズ』に登場するヒーロー)。筋肉隆々たる姿はまさにリアル世界に降り立ったスーパーヒーローだ。

 今年より一軍のストレングストレーナーを務めるのは鈴木拓哉さん。パワーアップ、筋力、筋量アップを目的に主に選手たちにウェイトトレーニングの指導を行うのが任務だ。試合前、試合後などを中心にウェイトルームの住人として君臨しマシンと向き合う選手たちを叱咤激励する。

 胸周りは120センチ。スクワット190キロ。べンチプレス130キロ。デッドリフトは200キロを軽く越える。だから人は敬意を表してマッスル鈴木とも呼ぶ。

マッスル鈴木氏 ©梶原紀章

アメリカの1Aのチームで学んだ適応力

 国内の大学(経済学部)を卒業後、単身、アメリカに留学。学費がリーズナブルで興味深いプログラムがあったことでカリフォルニア州立大学ノースリッジ校にてトレーニングの勉強を行ってきた。その後、マイナーリーグ(当時はシアトルマリナーズ傘下の1A、ハイデザート・マーベリックス)でトレーニングの指導経験を積み重ねた。

 砂漠に囲まれた場所に本拠地を置くアメリカの1Aのチームで学んだのは適応力だという。さまざまな人種と環境で育った選手が集まるチーム。遠征先へのバス移動は長い時で9時間ほどになる。その中で型通りのトレーニング方法やプログラムは通用しない。臨機応変な対応が要求された。

「言語も違えば文化も違う。常識が通用しないこともある。例えば9時間のバス移動の後にいつも通りのトレーニングを行うのかと言えばノー。型通りにはいかない。柔軟な適応力が求められる環境だった」と鈴木さん。この経験がその後に生きた。

 帰国後、日本の民間企業を経てマリーンズから声がかかる。選手たちのパワーアップのためウェイトに特化したスタッフを探していたマリーンズはアメリカでの経験もあり筋肉の知識が豊富な鈴木さんに声をかける。

 このオファーに鈴木さんは「ワクワクした。大胸筋の上部がピクピクした。日本にもストレングス文化が発展し雇用が生まれていることが嬉しかった」と振り返る。