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ホークス7回裏、完璧すぎるロボットダンスをする男“トッシー”の正体とは

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/09/11

 今シーズンが開幕したての頃、この文春野球コラムの村瀬コミッショナーから最上級の褒め言葉(?)を頂戴した。

≪どこよりも未来へ飛び立ってしまったソフトバンク。人類滅亡後の世界を思わせるシュールな光景≫

 誰もが初めはギョッとしたはずだ。今年、福岡PayPayドームの外野スタンドに現れたのは「踊るロボット応援団」だ。まずは開幕戦からしばらく、球団プレスリリース記載によれば「大のホークスファン」だという人型ロボット「Pepper(ペッパー)」がライト側に登場した。

 無観客で始まった今年のプロ野球。ファンのいないガランとした客席で複数体のペッパーがくねくね動く様子は、多くのニュースで面白おかしく紹介された。それは日本国内にとどまらず野球大国のアメリカはもちろん、イギリスやロシア、中国でも「最先端の応援」と大々的に報じられた。

 これに味をしめたのかはともかく、有観客解禁直前の7月7日を境にしてホークス球団は第二の矢を放り込み、一気にスケールアップを果たした。レフトスタンドの中段に特設ステージを設けて、「ペッパー」に加えて、まるで犬のような四足歩行型ロボット「Spot(スポット)」も参戦させてきたのだ。

 それぞれ20台の最新テクノロジーが手拍子と足踏みでホークスへ熱烈エールを送る。ときに滑らかに腰を振り、松田宣浩がホームランを打てば「熱男」のポーズもとる。

 さらに7月21日の試合からは「ペッパー」たちが合唱するようになり、7回裏に流れる『いざゆけ若鷹軍団』に初音〇クばりの甲高い声が混じるようになった。

 ところで、その7回の応援歌のとき――。

 やはり、ギョッとした人が多いのでは?

 ペッパーよりひと回り大きくて白いモノが横に並んで、リズムに合わせてカクカクと動いているではないか。

 周りのロボットたちとは明らかに異質……。だけど、あまりに高すぎるクオリティーに、その様子がツイッターに投稿されると「あれってロボットですか? それとも人間ですか?」と真剣に訊ねてくるファンまで現れた。

 お答えしましょう。正解は、人間です。

 その正体はスタジアムキャラクターの体操兄さん「トッシー」だ。

体操兄さん「トッシー」

 初めは白くて大きなモノでしかなかったが、その姿は試合が進むにつれてどんどん奇抜に進化していった。最近では口の中から眩しい光を放っている。

 最初は不気味がる声も少なくなかったが、今やちょっとした人気者である。試合中継にも必ず映るし、SNSに上がれば話題沸騰だ。まさにバズっている。

 これは本人を直撃するしかない。

どんどん奇抜に進化

アドリブ勝負だったロボットダンスのパフォーマンス

――おめでとうございます。すごく話題になっていますね。

「ありがとうございます(笑)」

――あのパフォーマンスはいつから?

「有観客になった7月10日からです。私自身が無観客試合のあいだはまだ球場に来ることが出来なくて、その日が自分にとっての開幕戦でした。スタンドでの応援パフォーマンスもそれまでは(球団マスコットの)ハリーくんたちだけで行っていましたが、その日からは我々も一緒にやろうということになりまして」

©福岡ソフトバンクホークス

――それで、あのダンスのリクエストがあった、と?

「いや、何をするかまで具体的なお願いはなかったんですが、テレビでペッパーくんたちが踊っているのを見ていたので、せっかく一緒に踊るんだから何かやろうと思ったのがきっかけです。

 それでロボット的な感じで踊ってみたら、試合中継のカメラがこっちを映してくれたんです。すると周りから結構反応がありまして。僕ら開場時にはお客様のお出迎えもしているのですが、ファンの方から『あのロボットの兄ちゃんやろ』とか『テレビで見たばい』とか声を掛けていただくことが多くなったんです。それならばペッパーくんに寄せていこうと思って、普段使っているパフォーマンスの衣装の中から自分で選んで色々持ってくるようになりました。同じものにならないように自分でローテーションを考えながら工夫をしています」