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ホークス7回裏、完璧すぎるロボットダンスをする男“トッシー”の正体とは

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/09/11
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――衣装は全部自前なんですか?

「そうなんですよ(笑)。ペッパーくんに合わせるので基本的に白が基調となるんですが、僕自身が野球以外でパフォーマンスの仕事をするときに、夜とか暗い場所で行うことも多いので、キラキラ光るアイテムを結構持っているんです。LEDライトで口の中が光るのもそうですし、光を放つ衣装なんかも自前です。去年までも試合後に光る衣装を着ていましたが、あれも球団グッズの『スターフラッシュ』にあわせて用意していました。光る靴やサングラスもあります(笑)」

――ダンスのこだわりは?

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「うーん、こだわりというのは特になくて。むしろこういう動きを入れようとか、事前には何も考えていないんです。その場の空気感を大事にしています。やっぱり主役は野球、そしてホークスですから。試合展開によってもパフォーマンスは変わります。いつもアドリブ勝負です。ペッパーくんやスポットくんの動きも本番まで知らないので、ロボットと生身の人間の駆け引きでもあったりしますね」

 初めからずっとアドリブ勝負だったのには本当に驚いたが、筋書きのない“戦い”をしているからこそ、どこか見ている我々を惹きつけたのだろう。

 ある意味、野球と同じである。

衣装は全部自前です

トッシー兄さんとロボット応援団のコラボレーションの行方

 そんな有名になってきたトッシー兄さんだが、これまでは知る人ぞ知る存在でしかなかった。PayPayドームに足を運んだ人ならば、誰もが一度は目撃したはずだ。試合前にハニーズらと一緒にパフォーマンスやMC、試合中もグラウンドや客席で動き回って、声を出して、チームとファンの盛り上げに尽力している。

 しかし、一方でPayPayドームに来られないファンには全く馴染みがなかった。

 ホークスの一員となって今季で7年目になるが、今回取材を申し込むと「わ、嬉しいです。初めてですよ」と喜んでくれた。球団公式サイトやオフィシャル球団誌もあるチームにもかかわらず、これはちょっと問題だなと感じたが、ともかく今回のコラムを機に彼のことを知れば、PayPayドームに行った際の楽しみもまた一つ増えるだろう。

 ではトッシー兄さんを簡単にご紹介。福岡県宗像市出身で1976年生まれの44歳。ん、44歳?? ホークスでいえば城島健司会長付特別アドバイザーと同学年である。正直、これは調べていてめちゃくちゃ驚いた。

「僕の年齢を知っているホークスの選手は高谷選手くらいじゃないかな。前に通路でたまたますれ違ったときに訊かれたので。すごく驚いていましたよ。で、そのバネが欲しいって(笑)」

 アンチエイジング法はもちろん体を鍛えることだが、ランニングは欠かさないという。コロナ禍で仕事のない時期はとにかく走りまくり、3~6月の4カ月間で計1000キロに達したという。

 また、自身のダンス教室を地元の宗像市で主宰している。「プログラムの中にロボットダンスはないですけど」と苦笑いされたが、ともかく直々にダンスを習うことも可能だ。

城島健司会長付特別アドバイザーと同学年(本人提供)

 ところで、日本野球機構(NPB)とJリーグは8日、西村経済再生担当大臣宛てに観客の上限緩和の要望書を提出したとのニュースが飛び込んできた。現在の上限5000人から「上限2万人、または収容人員50%の少ない方」へ引き上げる新たな基準を求めたのだ。各メディアの報道によれば、政府も上限緩和を検討しており、容認されれば今月中にも緩和が実現される見通しだという。

 そうなれば、PayPayドームの左翼席にもようやくファンの入場が認められることになり、ロボット応援団のいる特設ステージは撤去されることになる。ホークス球団関係者に問い合わせると「(ロボット応援団について)何か違う形で存続させるつもりですが、これまでのように巨大なステージというのは難しいでしょう」と回答があった。

 トッシー兄さんとロボット応援団のコラボレーションの行方は未定だ。ともかく楽しめるうちに、しっかり噛み締めて見届けておこう。

 今日11日からの西武3連戦でも、どのようなパフォーマンスで楽しませてくれるのか必見だ。

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