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スターの葛藤を抱えつつ…芸人・ビビる大木が原辰徳監督に学んだ“プロ”の厳しさ

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/09/22
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「君とは一度ゆっくり話したかったんだよ」

 監督になったあとの原さんは野球人としての才能をさらに開花させていきますが、正直に言って、巨人軍史上最多勝利を挙げる名監督になるとは思っていませんでした。

 ひょっとしたら、選手にとっては結構嫌な監督かもしれません。助っ人のロペスを守備固めで使ったり、主力だった村田修一を2回で代えたり。いい意味で「巨人のルール」をぶっ壊してきました。「お前さん」とかワードセンスも抜群で、現役の時にはなかった原さんの面白さが出ている。むしろ監督になってから長嶋さんに近づいているような気もしますね。

 これは余談ですが、第二次政権で優勝したとき、僕はスポーツ紙のコラムで「MVPは原監督だ。見ている側の野球観も変わる見事な采配だった」と書いたところ、それを読んだミスターが「この人の言うとおりだ」って言ってくれたらしいのです! あれはうれしかった。

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©ビビる大木

 僕の芸能人生と原監督を重ねて考えてみると、僕は原さんみたいな4番バッターではありません。どちらかと言えば原につなげーと言われているバッター。「4番に回せ」「原に回せ」。そういうポジション、存在として自分はやってきました。4番を目指して芸能界に入ってきたけど、自分の生きる道は4番ではなかった。でも、スターである原さんがいろんな葛藤を抱えつつ奮闘する姿を見ながら、自分なりに頑張ってきたという気がします。

6copy;文藝春秋

 そんな僕が原監督の凄みを感じたというか、心をグッとつかまれてしまったなーという出来事があります。一昨年、3度目の監督就任が決まったとき、就任のお祝いを言いに行ったら、第一声でこう言われたのです。

「君とは一度ゆっくり話したかったんだよ」

 僕が熱烈な巨人ファンであることはどうやら知っていただいていたようですが、たとえ社交辞令だったとしてもうれしすぎる一言。その人心掌握術に「来客を待たせていた総理大臣みてーだな」と感銘を受けたものです。

 巨人というチームを国に見立てれば、もはや「原総理」と言っても過言ではない。今回も長期政権になるようしっかり応援していきたいと思います。

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