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和田さんはカラオケがお好き?

 和田さんと知り合ったのは「話の特集」の仕事でした。僕が書いたものを和田さんが褒めてくれたと間接的に聞いて、和田さんに褒めてもらうってとんでもないことなんですよ。それで飛び上がっちゃって。僕の好きな人はみんな和田さんのことが好きで尊敬していたので、和田さんのことは会う前から「町内のご隠居さん」のような存在だと思っていました。実際に会ったのは僕が30歳を過ぎてからだったかなあ。

 その後僕が歳をとってから、土屋耕一さんの仕事をまとめて見られるようにしたいと和田さんが思われて、僕のところに「頼みがあるんだけどさ」って来てくれたんです。それでほぼ日が発行元になって、和田誠/糸井重里・編ということで『土屋耕一の言葉の遊び場。』(2013年刊)という2冊組の本をつくりました。

土屋耕一の言葉の遊び場。』(2013年刊)

 和田さんに頼まれた人ってそれほどいないと思うんですよ。歌い手の人は頼まれることがあったかもしれないけれど、それ以外ではなかなかいないと思う。僕は長く仕事してきて、生きてきて、和田さんに「頼みがあるんだけどさ」と言われるところまでたどり着いたっていうのが嬉しかった。僕が途中で消えていれば頼まれないわけだし、生き続けて、それを和田さんが見ていてくれて、「こいつはやってくれるだろう」ということで頼みにきてくれたわけで。だから本当に嬉しかったですね。

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 和田さんとはカラオケにもよく行きました。うちの娘が和田さんに道でばったり会ったときも「お父さんにカラオケに行こうって言っておいて」って(笑)。和田さんは、英語のスタンダードを歌うこともあったし、昔の歌謡曲を歌うこともあったし……。ときには順番の取りっこになることもありましたよ。和田さんは目立つのは嫌いだけどやりたいことに関しては邁進するんですよね(笑)。