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コロナ禍の帰省で「田舎の怖さを実感」…近所のおばちゃんは「家から出ないほうがいい」

2020/09/01

genre : ニュース, 社会

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「家には来るな」「東京から来たって絶対言うな」

◇信江明夫さん(仮名、33歳・IT企業勤務。帰省先は山形県)

「先日、祖母が亡くなったんです。お盆の時期に行われることになったお葬式に合わせて休みが取れたので、実家に連絡したところ、父親からは『別に無理しなくていいぞ。俺はいいけど、葬式となると親戚が集まるし、高齢者も多いから……』と。最後には『もし誰かの陽性がわかったら、お前も気分が良くないだろ』と言われました。

写真はイメージ ©iStock.com

 そういった心情はもちろんわかるのですが、祖母のお葬式には出たかったので、ずっとマスクを着用したうえで参列しようと考え、切符を取って新幹線に乗りました。その日はちょうど東京で感染者が200人を超えた日でした。山形駅に着いたと連絡したところ、父親から『家には来るな』と言われ、途方に暮れてしまいました。

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 まだ昼だったので、とりあえず地元の友達と連絡を取り、会ってメシを食うことに。その時に友達から『お前、東京から来たって絶対言うな』と念を押されました。

 山形県の公式ツイッターでは、その日の検査数と陽性者数が発表されています。陽性者がわかった日はそのツイートなどをきっかけに、感染したのはどんな人か、例えば『陽性者は東京都内在住の知人と接触』などと犯人探しが始まることがあるようなんです。

写真はイメージ ©iStock.com

 さすがに怖くなってきたのですが、実家にも近づけないので、駅近くのビジネスホテルに泊まることに。結局、次の日の朝イチで帰りました」

 人目を避けて帰省した人もいる。

◇橋本努さん(仮名、39歳・デザイン会社勤務。帰省先は岐阜県)

「帰省する前から、絶対に疎ましく思われるだろうと覚悟していました。車で行ったのですが、品川ナンバーだとよくないと思い、実家の手前の駅で降りて車は駐車場に。電車に乗り換え、人目を避けて実家に向かいました。家に滞在したのは1時間です。親が5歳になる孫の顔を見たがっていたので、感染防止対策をとって、サッと会わせました。

写真はイメージ ©iStock.com

 実家にいるのが近所の人に見つからないよう、妻と子供は時間をずらして家を出て、そのまま駐車場のある駅までばらばらに合流、そのまま引き返してきました」