「帰ってくるならPCR検査受けて、夜中に帰ってきなさい」
帰省をあきらめた人もいた。
◇中川麻衣さん(仮名、35歳・美容サロン勤務。実家は長野県)
「帰省していいか、親に確認したら『帰ってくるならPCR検査受けて、夜中に帰ってきなさい。車はガレージに入れてシャッターを閉める。一歩も外には出ないように』と断言されて。さすがに帰る気持ちがなくなりました。普段はことあるごとに帰ってこいと言われてきたのですが、親の豹変ぶりに驚きました」
首都圏でも、「東京」と聞いて神経質になる親族がいたという人もいる。
◇村田美里さん(仮名、32歳・冷凍食品メーカー営業。実家は千葉県)
「実家は千葉の奥のほうなんです。コロナに対する警戒心や状況が、東京とあまり変わらないかと思っていたのですが、お盆の時期を前に、親は神経質になっている様子でした。『帰ってくるのはいいけど、もしものときに迷惑がかかるから個人店には行かないでほしい』と言われて、その理由を聞いたところ、『もしあなたが陽性だったら、立ち寄った場所が噂になって広まる』と。それほど警戒しているのか、と思いました」
ホテルで「東京からのお客様はお断りしています」
◇小森由実さん(仮名、36歳・飲食店勤務。帰省先は長崎県)
「事情があって、十数年ぶりに帰省したんです。実家に泊まれなくなったので、ちょっと大きめのホテルに飛び込みで入ったら、『他のお客さまからの要望で、東京からのお客様はお断りしています』と。事前に調べていなかったこともあり、驚いてしまいました。次に行ったホテルは普通に泊めてくれましたが、こんなに寂しい思いをするなら、帰省はやめておけばよかったと後悔しました」
取材に応じてくれた人たちの様々な「帰省」体験談。今年の年末も、同じような状況が繰り返されるのだろうか。