進歩系のハンギョレ新聞も社説「安倍総理電撃辞任 韓日関係改善の出発点になることを」で、「何より安倍総理が嫌韓を政治的に悪用し、韓日関係を大きく悪化させたことは遺憾だというほかない」と書き、朝鮮日報と同じく、徴用工問題での報復として輸出規制を行ったことを挙げた。
安倍首相辞任により、「韓国政府も安倍政府の退場を契機に韓日関係改善の突破口を積極的に作るべきだ。歴史問題解決と外交、経済事案をツートラックで進展させる戦略を先に準備する必要がある」と締めくくっている。
安倍首相ほど韓国で不人気だった日本首相はいなかった
振り返れば、安倍首相ほど韓国で不人気だった首相はいないかもしれない。
別の中道系紙記者はいう。
「安倍首相といえば、靖国神社参拝(2013年)、そして河野談話の検証(2014年)までしましたから、韓国では『歴史修正主義者』ととらえられていました。日本での嫌韓の雰囲気が醸成されたのも、安倍首相自らがそれを容認し、利用したためと見られていましたから、韓国人が認められるような余地はなかった。
そういった認識が、日本に関心のない層にまで広がったのが輸出規制です。日本は韓国の輸出管理に不備があったとしましたが、強制労働の被害者(徴用工)判決への報復だったことは明らか。歴史問題に経済で報復するのかと日本への失望や怒りが広がった」
世論の反応はどうだろう。ネットの書き込みをみてみると、安倍首相自身を批判したり、どうでもいい、関心がないといった内容のものもあることはあるが、それよりも、安倍首相辞任をきっかけに韓国の保守に矛先を向け攻撃している書き込みのほうが目についた。
青瓦台(大統領府)は8月28日、安倍首相の17時の記者会見から1時間が過ぎる少し前、コメントを出した。「安倍総理の早い快癒を願う」として、「長い間、両国の関係発展のために多くの役割をしてきた安倍総理の突然の辞任発表を残念に思う」と続け、「新たに選出される日本の総理および新内閣とも韓日間友好、協力関係増進のために続けて協力していく」という内容だった。
韓国での関心はすでに次の首相候補に向けられている。