日本の保護観察制度はちぐはぐ
「日本では、満期釈放された受刑者をフォローする制度がありません。もともと、問題性が低くて再犯の可能性が低いと思われる人は仮釈放され、保護観察を受けながら社会の中で更生の道を探ります。一方で問題性が高いからこそ仮釈放ではなく満期で出所する人に対しては、フォローがまったくない。制度として逆なんですよ」(同前)
保護観察とは、担当の保護観察官と保護司がついて月に2度の面談を続けることで、出所者の社会復帰を手助けする制度だ。しかし満期での出所者についてはまったく適用されない。
また仮釈放にしても、残りの刑の間、保護観察が行われるだけで、数カ月から6カ月で保護観察が終わったしまうケースが8割を占め、再犯のリスクが高い期間をカバーすることができない。
「満期での釈放後も監督が続く保安処分には、日本では人権上の懸念から反発も根強い。しかし保安処分を使わずとも、『一部執行猶予』といって刑期が残っている時点で残りの刑を執行猶予とし、最大5年間の保護観察をつけられる制度が導入されました。そのような制度をより積極的に活用していく必要がある。再犯率が高いのは出所から3~5年の間であり、その最もリスクの高い期間をサポートし、少しでも再犯率を下げることが大事だと思います」(同前)
福岡の事件、被害女性の夫は「出所すれば同じことを繰り返す」、息子も陳述書で「一番重い刑にしてほしい。少なくとも一生、刑務所から出てきてほしくない」と重い刑を求めていた。結果的に古賀被告には無期懲役の判決が下ったが、それでも現在の司法制度では最短で10年、現実的にも30年ほどで仮釈放となる可能性が残されている。