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再犯防止プログラムを「机上の空論」
そしてもっとも波紋を広げたのは、古賀被告が収監中に受けていた「再犯防止プログラム」についてのこの発言である。
「効果がないと感じた。机上の空論」
古賀被告は2006年の強姦事件後、収監中に再犯率を下げるプログラムを受けていたが、それについて「効果がない」と断じたのだ。
「再犯防止プログラム」は認知行動療法を用いて再犯をしない方法を学ぶもので、再犯リスクの大きさに応じて4~9カ月の間、1回100分の指導を週1~2回受ける。「高密度」と呼ばれる9カ月のプログラムを週2回受けた場合、合計時間は約130時間にものぼる。裁判で古賀被告は「100回くらい受けた」と言い、それだけの時間をかけるならば相応の効果が求められるのも事実だ。
3年以内の再犯率は38.0%から27.3%に低下
被害者支援や犯罪者処遇の専門家で、仮釈放や犯罪者の矯正に詳しい慶應大学の太田達也教授は、再犯防止の難しさについてこう話す。
「日本では、刑務所を出た人の40%が5年以内に刑務所に戻ってきてしまうという統計があります。再犯防止プログラムはそれを0人にしようというものではなく、少しでも減らそうというもので、一部のプログラムは実際に再犯率が有意に下がっているデータがあります。プログラムとしては、講義、個別の課題、グループワークなどが行われています」
2020年3月には法務省が、性犯罪者処遇プログラムを受けた出所者は、3年以内の再犯率が38.0%から27.3%に低下するという分析結果とともに「効果はある」と発表した。だが、3年以降の再犯を加えればさらに数字は上昇する。
古賀被告も、最後の出所から2年で再び罪を犯してしまった。