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百貨店、起死回生のカギはアートにあるか――人工物に生命を宿らせる牧田愛の絵画作品

アート・ジャーナル

2020/09/19

 百貨店の上層階といえば、お高い品々が居並んでいそう。用向きがなければそうそう足を踏み入れられない……と、気が臆してしまうところもある。

 重々しい雰囲気を変えよう。そう取り組み始めたのが、三越日本橋本店である。この3月から6階のフロアを、美術とエンターテインメントが存分に楽しめる場として整備し、リニューアルした。美術関連でいえば、現代アートに特化した「コンテンポラリーギャラリー」を新設したり、若手美術作家を積極的に取り上げたりといった試みを続けている。

 

 美術営業部の高木啓伍バイヤーが、意図をこう説明する。

「アートに強く人を惹きつける力があるのはたしかです。およそ百年前から美術を大切な主要商品として扱ってきた私たちとしては、いっそう美術の間口を広げて、誰もが美術と親しむ機会を持つ場をつくれたらと考えました。

 そこで気に入った作品と出逢えれば、もちろんご購入手続きや納入まで私たちが一貫してお手伝いさせていただきます」

 コロナ禍と、それ以前からの消費動向の変化で、百貨店業界は苦境続き。高額品を丁寧に売っていくことに活路を見出そうと、アートへ注力し始めているといったところか。

「中でもこちらは、ぜひご覧いただきたい作品ですね」

 高木バイヤーがそう推すのは、若手アーティスト・牧田愛の作品。美術サロンで個展「Artifact」を開催中である。