「私が負けるようなことがあれば、それは選挙に不正があったということだ」と言い切ったトランプ。しかし11月の大統領選に向けて混乱は深まるばかり……。『トランピストはマスクをしない』(文藝春秋)で著者の町山智浩氏が明かす、トランプの“裏の顔”とは。
◆◆◆
トランプは自己愛性人格障害
コロナの死者が13万人を超え、支持率が40%を切りながら、11月の選挙に臨むトランプ大統領に対して、身内の造反が続いている。
まず、ミット・ロムニー、ブッシュ兄弟、コリン・パウエルをはじめとする共和党内の反トランプ勢力が公然と民主党のジョー・バイデン支持を表明した。また、大統領補佐官だったジョン・ボルトンが回顧録を出版。トランプが習近平に対して、ウイグル人の強制収容所建設を奨励した事実を暴露した。
最高裁では、ニューヨークの検察が請求していたトランプの納税記録を開示するよう評決が出た。トランプは頑なに納税記録の開示を拒否してきた。それは、彼の事業が失敗しているからだと言われている。それで税金を払ってないし、事業を救うために政界に乗り出したと疑われている。今回、最高裁判事はトランプが2人任命したことで5対4で共和党寄りになったにもかかわらず、トランプに厳しい結果だった。トランプはツイートで「Presidential Harassment(大統領イジメだ)!」と嘆いた。
さらに、出版を阻止しようとしていたトランプの兄の娘メアリーさん(55歳)の著書『Too Much and Never Enough(過ぎたると及ばざる)』が無事に出版される。副題は『私の一族はいかにして、世界で最も危険な男を作り上げてしまったのか』。
メアリーさんは心理学の博士でもあり、著書のなかで、トランプを自己愛性人格障害と分析している。また、親戚の内輪話もいろいろ暴露されている。たとえば、トランプは小学校の頃から本を読むことが苦手で、宿題は姉のマリーアンにやってもらっていたとか、大学入試のための統一テストは友人を金で雇って替え玉受験させたとか。
だが、本の大半は、メアリーさんの父、フレッド・トランプ2世の悲しい生涯について割かれている。