新型コロナウイルスの感染拡大を受けて撮影が一時中断されていたNHK大河ドラマ『麒麟がくる』の放送が8月30日から再開された。
主人公は、本能寺の変で知られる明智光秀(長谷川博己)。門脇麦さんが演じるのは、若かりし日の光秀が京で出会ったドラマオリジナルのヒロインで、戦災孤児として育ち、医師・東庵の助手を務める駒だ。
ドラマのタイトルにある「麒麟」とは、仁のある政治をする為政者が現れると降り立つという聖なる獣。群雄割拠の戦国時代にあって、光秀は「麒麟」を現世に呼ぶべく奔走し、駒も同時代をひた走っていく――。
なぜ駒役を門脇さんに?
今回、再開された『麒麟がくる』について門脇さんと語り合ったのは、NHKのチーフ・プロデューサーである落合将氏。まずは門脇さんも初めて聞いたというキャスティング秘話から。
落合 僕とチーフ演出の大原拓は『悦ちゃん 昭和駄目パパ恋物語』(17年)というドラマを一緒にやったんですが、門脇さんには主人公の妻を演じてもらったんですね。その時の経験からも、自然にもう「駒は麦だろう」と結論が出たんです。門脇麦という女優は本当に「隣に居る」感が強い。かつ存在感も大きい。この殺戮だらけ、権謀術数だらけのドラマの中で、庶民の役、最も視聴者目線に近い存在を託せるのは、門脇さんしかいませんでした。
門脇 ありがとうございます……落合さんや大原さん、プロデューサー陣や演出部の皆さんと初めて集まった時も、「まあ、そんな感じでよろしく」という感じだったじゃないですか。こんなに真面目に喋っている落合さん、初めて見ます(笑)。
落合 初めてした話だからね。
「“跳ねて”ほしい」と言われて
門脇 その後も1回食事会がありましたけど、「今回はこういうテーマで」「駒はこういう思いで」といった話があるのかなと思ったら、最初の10分くらい「衣装はこんな感じで決まったよ。他に何か質問ある?」みたいな感じで、あとはご飯を食べてほとんど世間話でしたよね。