タレント岸部四郎さんが8月28日に亡くなっていたことが、9月15日に発表された。71歳だった。
晩年は闘病生活で、近況も知られていなかった。だが、かつては伝説のバンド「ザ・タイガース」のメンバーで、解散後は主にテレビで活躍。長くワイドショーの司会も務めていたが、突然姿を消して、自身が取材対象になった時期があった。
元妻に法外な要求をされて……
1998年4月6日、岸部さんは、視聴者にコメントも残さず、13年間司会を務めていた日本テレビ系「ルックルックこんにちは」を自主降板した。原因は、総額5億2000万円の負債。返済に追われる状況に耐え切れず、翌7日には東京地裁に自己破産を申請した。所属事務所も解雇され、一切の芸能活動ができなくなった。
芸能マスコミは、岸部さんの「潜伏場所」を探しながら、周辺取材を重ね、このスキャンダルを報じ続けた。そして、「事業失敗が響いた」「計画破産」「実は隠し資産がある」「女子アナを金融関係者に紹介した」などと伝えられたが、同月末になると、岸部さんは、個別で新聞、雑誌のインタビューに応じ、「真相」を語るようになった。「考えが甘かった。僕が招いた結果」と反省。その上で、最初の妻との離婚で突き付けられた「法外な要求」を飲み、ザ・タイガース時代の同僚、森本太郎さんに高利業者を紹介されたことを契機に、転落したことを明かしていた。
以下、岸部さんの主張。
・最初の妻との離婚は1985年。「別れたい一心」で、要求された月120万円の支払いを承諾した。
・離婚直前、東京・杉並区に1億2000万円の一軒家を購入していたが、名義は妻に変更され、月50万円のローンは負担。
・子供2人の養育費は月60万円で、生命保険の支払いも負担。
・預貯金、車、自転車まで要求された。新車に替えるたびに支払いもした。
「ルック」のギャラは、月200万円。しかし、所属事務所の取り分や税金を引くと残り120万円だったため、妻に120万円支払うと手元には「1円も残らない」状態。生活苦から銀行から3000万円借りた。それが、「借金生活の始まりだった」という。