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いよいよ非電化の本格的なローカル線

 高麗川駅でJR東日本の誇る気動車キハ110系に乗り換える。日中、電化区間は1時間に2本ペースだが非電化区間は1時間半に1本ペースと一気に本数が減少する上、乗継もほとんど考慮されていない点は八高線の旅をするなら要注意である。ここからはいよいよ八高線は非電化の本格的なローカル線で、沿線風景はそれまでの市街地からうってかわって田園地帯。毛呂山町(毛呂駅)や越生町(越生駅)などの周辺には市街地も見られるが、竹沢~折原間は山間部の様相を呈する。そして荒川を渡ると東武東上線の終点でもある寄居駅。

非電化区間を行く八高線

 この寄居駅で秩父鉄道に乗り換えれば、荒川をさらに上流方面に遡って名勝・長瀞に。荒川橋梁を渡る八高線の車窓からも長瀞ほどとはいかないまでも、大河川の流れが作り出した切り立つ奇岩を眺めることができる。寄居駅から先も変わらず田園地帯を走り、神流川を渡るとついに群馬県内に突入する。この神流川のあたりは本能寺の変直後に織田家家臣の滝川一益と関東の雄・北条氏直が激突した神流川の戦いの古戦場。八高線の車窓から、そんな歴史に思いを馳せてみるのもいいだろう。八高線、兵どもが夢の跡。

高崎駅はなぜか“帰り着いた”気持ちにさせてくれる

 八高線の路線としての終点は倉賀野駅だが、全列車が高崎線に乗り入れて高崎駅まで向かう。高崎駅では高崎線・上越線・両毛線・信越本線に加えて私鉄の上信電鉄に乗り換えることができるが、いずれも電化路線だから八高線だけが非電化。ふだん東京都心で暮らしている人にとっては高崎とて大層遠くに来た感じもするのだが、相模線・八高線の旅を終えてたどり着く高崎駅はなぜか“帰り着いた”気持ちにさせてくれる。これが気動車でのローカル線ならではということか。その後は、もう高崎線のグリーン車に乗って一路東京を目指すだけ、である。

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 かくして、朝、茅ケ崎を出て相模線・八高線と乗り継いで、夕方にやっとの思いで高崎駅にたどり着く“首都圏ローカル線の旅”。沿線の車窓も茅ケ崎・海老名の市街地から起伏の激しい相模野台地、多摩川や荒川の大河川の流れに田園地帯と古戦場まで実にバラエティに富んだもの。その上205系というかつて山手線でも使われた90年代の首都圏の主役車両から気動車まで、乗れる車両もさまざまだ。そういう見方をすれば、八高線と相模線、ローカル線といえども意外と見どころは多いのである。途中下車を何回か繰り返しても充分1日で楽しめる列車旅、あなたもぜひ楽しんでみてはいかが?

 

写真=鼠入昌史

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