菅新総裁誕生の翌日に注文をつけた読売・産経
さて、良くも悪くも理念型だった安倍氏と異なり大きな物語を打ち出していない菅氏。読売や産経といった保守系紙の論調を見ると興味深い。
『「菅ビジョン」を明確に』(読売 政治部長9月15日)
『大局観ある政治目指せ』(産経 主張9月15日)
どちらも菅新総裁誕生の翌日に注文をつけていたのが印象的だった。
菅氏に夢を託し、何が何でも菅さんをかばうというコア層はまだいないように思える。言ってみれば菅氏はすべての政策がむき出しで一つ一つ精査される宿命にある。
そう考えると「女性活躍」「地方創生」「1億総活躍」「働き方改革」「人生100年時代構想」など政策の看板を次々に掲げ、フワッとしたムードで押し切っていた安倍政権はやはり特殊だったのだと思う。
大きな物語が無いぶんフラットに査定されそうな菅政権。たとえば次の論調も面白い。
モリカケ・桜についてあらためて読売と産経も言及。
《国民の不信を積極的に取り除こうとする姿勢が足りなかったため、今に至るまで引きずることになった。菅氏は国民の信頼なくして政治は進まないことを肝に銘じて、過剰と思えるぐらいの「説明責任」を果たしてほしい。》(読売9月16日 特別編集委員橋本五郎)
直球である。過剰と思えるぐらいの「説明責任」を果たしてほしいってそれ安倍首相の頃にも言えばいいのにとも思ってしまったが、とにかく直球である。
産経新聞は桜を見る会に招待されていた「ジャパンライフ」の元会長が詐欺容疑で逮捕されたことをうけ9月19日の社説はこう訴えた。
『「桜を見る会」の再調査を』
剛速球だ。こんな球を持ってたのか。締めの言葉もすごい。
《菅義偉首相は「桜を見る会」について、来年度以降、中止する意向を表明している。同時に、安倍政権が行うとしていた会のあり方の見直し作業も中断する。やる前提であり方を見直すのだから、やらないなら検討する必要もない。そういう理屈なのだという。だが過去の会が事件に利用されてしまった以上、これはもう、屁理屈ともなるまい。》
剛速球をぶつけまくる産経師匠。これを読んで思ったが、菅氏が今度「その指摘は当たらない」と言ったら「これはもう、屁理屈ともなるまい」と皆で返せばよいのではないのだろうか。