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 その後、初芝清監督辞任の怒りが生きとし生けるものの激情を促し、迸るエネルギーは大地を切り裂き天をも貫いてコロナウイルス蔓延とともに都市対抗野球そのものがしめやかな状況を迎えるという決着を迎えたのは『初芝創世記』序・第三章にも克明に記されています。

背番号6を付けていた初芝清 ©文藝春秋

 そんな物悲しい出来事に関して何も知らないMCの子役・若山陽菜さんが無邪気な質問としてビーンボール豪速球を投げ込み、言葉を濁す我らが初芝清。もうね、涙とビールなくしてこのチャンネルは見られないのですよ。おつまみ一気喰いするレベル。運営大変だろうけどいつまでもこのチャンネルは続けていってほしいと思いますね。

 もちろん、初芝清がビール飲みながら微妙に出来上がった感じで動画撮影したり、若山陽菜さんの横で「小中学生がなりたい職業」という比較的どうでもいい話題で「夜のお店屋さん」なる隠語を発してちゃんねる全体の品位を壊滅的に下げるだけでなくストライクゾーン低めに決まるセクハラ発言をかますなど、初芝清の魅力が満載になっておるわけです。

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大事なところで大仕事をしたり、派手にやらかしたり

 もうちょっと野球とか政治の話題をしろよと思いたい気持ちもありますが、これでいいんです初芝清なので。

©iStock.com

 やはりね、初芝清の引退試合で打席に立って大声援のなかデッドボールを喰らうあたりに真骨頂があるわけですから、そのあたりの魅力が子どもたちにも伝わるような番組として登録者数2億人ぐらいのビッグチャンネルに育って欲しいと願うわけですよ。大事なところで大仕事をしたり、派手にやらかしたり、そういう人の気持ちの盛り上がるところで印象的なプレイをする、これがパ・リーグイズムでありロッテ魂ですので、そういう魅力的な野球の在り方を背中で語り続けてきた初芝清には改めて惜しみない拍手を送りたいのです。

 先日ショウアップナイターでお馴染みの元ニッポン放送松本秀夫さんとの初芝清トークライブを見物に行ったとき、やっぱりこう、初芝清が培ったパ・リーグのエンターテイメントの魂を次の時代にどう伝えていくのか、そういう新たなステージに入ったと思うんですよね。

 やはり、独立リーグでも社会人野球でも良いのでいま一度、ユニフォームを着た初芝清がベンチの中で選手と一緒に泣いたり笑ったりしている姿を見たいなあというのが正直なところで、ゆくゆくはロッテに戻って20連敗とかして物議を醸して欲しいなあと心から願っております。

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