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誕生・菅義偉新政権 脱コロナで経済低迷の日本は本当に救えるか

2020/09/24

 結果的に初芝清のサード守備はザルであるという風評が出回り、川崎球場まで見物にいくとやっぱりザルなので初芝清の潔い芸術性を理解しない心無い観客から「働け」とか「しっかりしろ」とか「痩せろ」などという罵声が飛んでいたのも良い思い出です。あれは「働いていない」のではなく「初芝であるからそうなっている」という理解であるべきです。いわば神はいないのではなく、そもそも神は我々を超越しているのだ、という神学の世界であろうと思います。

17年間の現役時代はロッテ一筋だった初芝清 ©文藝春秋

 のちにハマのファンタジスタと呼ばれた古木克明が登場するまで「雑なサード守備といえば初芝」という不当な評価が下され、初芝清が引退してなお「ロッテらしさ」とは何であるか、ファンは自問自答する日々が続きます。しかし、最盛期には間違いなく球界を代表する守備の名手だった鳥谷のエラーを論ずる初芝の姿を見て、複雑な心境になったのは私だけでしょうか。あの、初芝が、あの、鳥谷の守備について語っている。動かない初芝が、動けなくなってきた鳥谷のエラーについて評するとき、その言葉を私たちはどう受け止めたらよいのでしょうか。

 三塁にあって、多くの取れるボールを敢然と見送り続け、また中途半端な捕球体勢らグラブの下をボールが通り抜けていく芸術的で雑な感じの守備、そして取りに行ったグラブを自ら踏んづけてコケてレフト前ヒットにしてしまう初芝清のファンタジスタとしての高い才能を皆が評価しているからこそ、「エラーを知り尽くした男」として初芝清は鳥谷のエラーを解説する資格があるんだぞ、ということなんだと感じますね。

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結果が出なかったのだから潔く責任を取る

 同じ動画でも、視聴者の質問として「山本エカ児監督について」見解を説明させられたうえで、一通り答えた後で「他の監督についても聞きたいです」という心無い内容が見られます。いや、それは初芝清にもっとも聞いてはならない質問ではないかと思うのですよ。

 皆さんご存じ、新総理・ガースーと素敵な絆を深めてきたエンターテイメント企業セガサミー(里見治さんが総帥)の野球部監督だった初芝清、あろうことに2019年は都市対抗野球でうっかり敗退してしまい、その年に無事監督辞任してしまうというハプニングまで発生しました。非常に残念なことです。結果が出なかったのだから初芝清といえど潔く責任を取るのだ。そして、次なる挑戦に向かう初芝清の背中を見送る、と思いきや、ユーチューバーとして再臨する初芝清の姿を見て涙を流さないパ・リーグファンなどいません。